「アヒル型マウスピース」異例ヒットの舞台裏 大ヒット狙いではない「微妙な商品」が面白い

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芦田社長(筆者撮影)

それが、写真で芦田社長が顔をしかめている商品です。爪かみ、指しゃぶりの癖を直すもので、「ビターネイル」といいます。センブリエキスの水溶液を、マニュキアを塗るように爪に塗り込みます。そこでついつい爪をかむと、芦田社長のような顔になるのです。口の中で苦みが広がり、2度と爪をかみたくなくなるというワケ。

筆者の爪にも無理やり塗られ、くわえさせられました。センブリの苦さは知っているので丁重にお断りしたのですが、許してもらえません。なめたとたん「にがっ」となって、昔飲んだ煎じ薬の味を思い出しました。安全安心の日本製で、嫌な臭いもありません。大人、子供どちらでも使用でき、8ml入りで2500円(税別)。おかげで取材中、口の中はずっと苦みでいっぱいでした。

いかにも大ヒットしそうにない商品

確かに面白い商品ですが、爪かみ癖のある人がそんなにいるとは思えません。微妙な商品、と言われる意味もわかります。ただ、ニッチな市場が存在することも確かです。2015年10月発売以来、大手通販、歯科医院などから引き合いがあり、累計で2万本以上を売り上げたそうです。

帝人の断熱繊維を使った「間仕切り断熱エコスクリーン」という商品もあります。2016年6月から発売、値段は2980円(税別)です。これも累計1万枚以上売れています。上層部に上がる階段に取り付けると、暖かい空気、あるいは冷たい空気を上に逃さない効果があり、高いおカネをかけてリフォームしなくても省エネになります。少し前には、在庫切れになるほどの人気でした。

中敷きを入れて強化した「段ボール収納箱5枚セット」というのも売り出しました。値段はこれも、2980円(税別)。すでに10万セットを売り上げたそうです。

アメージングクラフトのスタッフはわずか4人。それで年商6億円を計上しています。1人当たりの売り上げは、「微妙」ではなく、かなりの高水準です。雑然とした事務所から、次の微妙なヒット商品が生まれる予感もしてきます。

ビューティーワールドの社員の皆さん(筆者撮影)

しかめ面の後は、本記事のタイトルにもある「アヒル顔」の商品を紹介します。

何やらヘンな顔をしている女性陣と男性1人。皆さん、口元に変わったマウスピースをはめています。大阪市南船場のビューティーワールドの社員たちです。ビューティーワールドは、主にネイル、メイク・コスメなど女性用の化粧品を企画販売している会社です。

このマウスピース、実は有名な心理学理論の応用です。

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