セイコーの時計から「SEIKO」ロゴが消えた日 高級ブランドの育成に本腰、スイス勢に対抗

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海外での存在感を高めるため、グランドセイコーなどを販売する専門店「セイコーブティック」を今後増強する。2017年4月現在では33ヵ国で75店舗を開いているが、2~3年以内に海外を中心に出店し100店舗まで拡大する方針だ。

セイコーが東京・銀座の商業ビル「ギンザシックス」に構える専門店。グランドセイコーはひときわ目立つ位置に展示されていた(記者撮影)

特に重視するのが米国と香港。米国では現在ニューヨークとマイアミに2店舗を構えるが、新たに2店の新設を計画する。香港ではすでに5店舗を持つ。現地の人のみならず、香港に来る中国人観光客の需要も見込める。

一方、ライバルのシチズン時計は、自社の「シチズン」ブランドにはない商品ポートフォリオをM&Aで拡充する「マルチブランド戦略」を打ち出す。自社ブランドで高級品の割合を高める、というセイコーの戦略とは正反対だ。

競合・シチズンは正反対の戦略

シチズンは2008年に米国の中価格帯ブランド「ブローバ」を、2016年には20~50万円程度の価格帯で展開するスイスメーカー「フレデリック・コンスタント」を買収するなど、製品群の拡大に力を入れる。

同社の戸倉敏夫社長は「ブランドにはそれぞれに適した価格帯がある。背伸びをするとすぐに売れなくなる」と話す。各々の立ち位置ですでにノウハウを持つブランドを取り込むほうが得策、というのがシチズンの考え方だ。普及価格帯のスウォッチから高級品のオメガまで持つスウォッチグループのような形といえよう。

対照的な海外戦略を進めるセイコーとシチズン。両社ともまだ道半ばだ。軍配はどちらに上がるのか。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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