セイコーの時計から「SEIKO」ロゴが消えた日 高級ブランドの育成に本腰、スイス勢に対抗
しかし、セイコーの萩原康則・マーケティング統括本部副本部長は満足していなかった。先進国市場の売上高のうち高級品が占める割合は7割近い。「大きな市場があるのに、セイコーのシェアは低かった」。そのため、「数年前からグランドセイコーをリニューアルするタイミングを見計らっていた」と萩原副本部長は明かす。スイス時計に対抗していく準備が整ったのが今年に入ってからだった。
これまでのセイコーの高価格帯ブランドには、ビジネスパーソン向けのグランドセイコー、ドレスウォッチの「クレドール」、個性派の「ガランテ」という、主に3つがあった。高級品のブランドは用途別に分かれていた。
「ビジネス」以外にも用途を広げる
だが今回の戦略変更で、グランドセイコーは高級品に特化したブランドとして、他のセイコーブランドから切り離された。「セイコー」ではない独立ブランドの証しとして、グランドセイコーの文字盤から「SEIKO」のロゴが取られたというわけだ。
以前はクレドールやガランテとの重複を懸念して手を出していなかったドレスウォッチやスポーツウォッチにも、「グランドセイコー」として進出する。用途という縛りがなくなっていく。
グランドセイコーとしての具体的な収益目標は明らかにしないが、東京五輪が開催され日本ブランドへの注目が集まるであろう「2020年までに結果を出したい」(萩原副本部長)という。現在、グランドセイコーの売上高の多くは国内で稼いでいる。ゆくゆくは「海外の売上高比率を半分以上にするのが目標だ」(同)。
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