シチズン、スイス高級時計を買収する狙い フレデリック・コンスタントはどんな時計?

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フレデリック・コンスタントは、スイスメーカーの中では新興勢力だが、技術力には定評がある

2015年度に最高益を叩き出した国内時計メーカー大手・シチズンホールディングスは、その余勢を駆ってスイス時計メーカーの買収に踏み込んだ。

買収先はスイスの機械式腕時計メーカー、Frederique Constant Holding SA(以下フレデリック・コンスタント)。5月26日に同社の全株式を取得する契約を結んだことを発表した。

 フレデリック・コンスタントは、1988年に現CEOのピーター・スタース氏夫妻が「手の届くラグジュアリー」をコンセプトに設立した会社。100年以上の歴史を持つことも珍しくないスイス時計業界としては新興メーカーに当たるが、時計を動かす中核部品であるムーブメントから一貫して自社製造しているなど、技術力には定評がある。

華美な装飾を施しているものは少なく、伝統的でベーシックなデザインの腕時計が中心だ。文字盤上に小窓を開け、中の機構を見せる「ハートビート」と呼ばれるデザインを世界で初めて出したメーカーとしても知られている。

価格帯は15万円から40万円が中心

同社は現在、社名と同じ「フレデリック・コンスタント」ブランドを中心に販売。価格帯は15万円から40万円程度だ。シチズン製品と比べると高価格帯のラインナップに強い。フレデリック・コンスタントは非上場で、売上高や買収金額は明らかにしていないが、日本国内では約140店舗で販売されている。

買収の狙いについて、シチズンホールディングスの戸倉敏夫社長は「これまで競合他社が先行していた高価格帯において、私たちのプレゼンスを高めることができる」とコメントしている。シチズンにとって、高価格帯の強化は長年の課題だったのだ。

そもそも、「市民に愛され親しまれるモノづくりをしよう」という想いから、同社の社名は英語で「市民」を表すシチズンに決まった。その名の通り、創業以来「手ごろな価格で品質の良い腕時計」を目指して時計を作ってきた。特に、1970年代にクオーツ式腕時計を発売してからはセイコーと共に国内腕時計メーカーがスイス時計を追いやるほどの躍進を遂げた。

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