カシオ、波瀾万丈「デジカメ20年戦争」の全貌

つねに不振と復活の繰り返しだった

中国で続く「自撮りブーム」。カシオのデジカメはもはやブランド品の扱いだという

撮った写真を背面の液晶ですぐに確認する――。デジカメを操作する上で、今となっては当たり前になったこの動作。これを初めて実現したのが、カシオ計算機だ。

カシオは4年連続で出荷数量が2割以上減っている苛烈なコンパクトデジカメ市場において、営業利益率2ケタを達成している優等生。だが、その過程は決して順風満帆だったわけではない。厳しい競争と価格下落により、事業は幾度も赤字に転落。そのたびに撤退が検討されたほどだ。カシオはいかにデジカメ市場の荒波を乗り切ってきたのか。

無理矢理通した企画が大ヒット

カシオがデジタルカメラ事業を始めたのは1995年。当時のカシオは中小型液晶パネルを自社生産し、パネルの用途開拓を進めていた。その中で、数ある企画案の1つとして「カメラに液晶をつける」アイデアがあった。

しかし、アイデアの評判はそれほど高いものではなかった。過去の苦い経験があったからだ。カシオは1987年に一度、電子式のカメラを発売している。だが、このときは非常に大型だったことに加え、記録がアナログ方式でパソコンに直接取り込めなかったこともあり、販売は芳しくなかった。

予想を上回るヒットとなった「QV-10」。今では当然の機能も、当時は業界初の斬新なアイデアだった

それでも、当時の開発メンバーだった中山仁執行役員は「撮った写真を手元で見ることができれば、コミュニケーションツールにもなる。売れるはずだ」と考え、「カメラ付きテレビ」として会社に提案することで、企画を通した。

結局、テレビ機能は見送り、1995年に発売された「QV-10」は、一般向けデジカメとして初めて液晶を搭載した機種となった。

QV-10は周囲の予想を裏切り、爆発的なヒットとなった。月産3000台の生産数量はすぐに1万台まで増産。発売1年間で20万台を売り上げ、コンシューマ向けデジカメが世の中に浸透するきっかけになる。

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