トランプ通商政策、「軟化姿勢」見せるワケ 強硬路線は鳴りを潜めた?

✎ 1〜 ✎ 347 ✎ 348 ✎ 349 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
当初の強硬路線から後退している?(写真:Kevin Lamarque/ロイター)

吠えるが、かみつかない──。ドナルド・トランプ米大統領のこれまでの通商政策を犬にたとえれば、こんな感じだろう。だが、米政界の事情通によれば、そう結論づけるのはまだ早い。

確かにトランプ大統領が当初の強硬路線から後退したのは、1度や2度ではない。通商政策においても、米国メディアによれば、国家経済会議で委員長を務めるゲーリー・コーン元ゴールドマン・サックス社長らの国際派が、新設の国家通商会議委員長に起用された対中強硬派ピーター・ナバロ教授らを中心とする排外主義者との戦いを制しつつあるという。

NAFTAから撤退して打撃を受けるのは米国

トランプ大統領はカナダとメキシコが大幅な見直しに応じなければ、米国は北米自由貿易協定(NAFTA)から撤退すると誓った。しかし、NAFTA撤退で最も打撃を受けるのは、域内で緊密なサプライチェーンを持つ米国企業だ。協定の抜本的な見直しは難しく、微修正にとどまると見られる。

米国は中国に対し「為替操作の世界王者」と批判し、最大45%の輸入関税をかけると脅した。だが、トランプ大統領は習近平国家主席との会談を前に、「中国は為替操作国でない」と語り、会談では為替問題に言及もしなかったという。

次ページなぜ攻撃的な通商政策を遅らせているのか
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事