米軍は「すべての爆弾の母」の異名を持つ大規模爆風爆弾(MOAB)を、アフガニスタンにある過激派組織「イスラム国」(IS)の拠点に投下した。
これは首尾一貫した対テロ政策に基づくものではない。手段が目的化したことを示すものであり、この種の意思決定が、たとえば朝鮮半島に対して行われたら破滅的な結末を引き起こすおそれがある。
興奮している国防総省
IS攻撃に当たり、米軍事司令官はどんな未使用の武器が残っているかを調べ回ったようだ。それで行き当たったのが、米国が保有する兵器の中で、核兵器以外では最大の破壊力を持つMOABだった。次いでそれを披露できる場所も検討された。
辺鄙(へんぴ)な荒れ地に最強爆弾を投下しても、世界中に分散するテロ組織を萎縮させることなどできない。しかし、そんなことはどうでもよかったのだ。
確かに軍隊は過激派テロに対抗するうえで重要だ。しかし、ドナルド・トランプ政権がペンタゴンにやりたい放題やらせているのは問題だ。
国防総省の人間は職業柄、安全保障上の脅威について偏った考えを持っている。軍事力を過大評価する一方で、外交や諜報活動、法的措置の力を過小評価する傾向だ。国防総省は今、白紙委任状のような強大な権限を大統領から与えられて、アドレナリンが出るほど興奮している。そんな組織に安全保障政策を任せたら、おかしなことになるに決まっている。
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