「自宅のモノ溢れに悩む人」はトヨタ式に学べ しまいこんだ高級品はあえて使ってしまおう
「減らす」=「捨てる」ではない
「とにかくモノが捨てられなくて困っています。前の引っ越しの荷物がそのままで……」
そんな依頼をいただき、大学講師として忙しい日々を送る40代のEさんのお宅に伺ったときのこと。一人暮らしには広すぎる2LDKには、住んで5年以上たっているというのに、引っ越し用段ボールがゲームオーバー寸前のテトリスのように、天井近くまで積み重なっていました。
Eさんのように、なんとか部屋を広く使えないかと試行錯誤している割に、頻繁に使わないモノのストックが大量にあったりしませんか? 「なぜコレがこんなところに」という不要なモノに占領されたスペースが存在しませんか?
私は「ライフオーガナイザー」という職業に就いています。初めて耳にする方もいらっしゃるかもしれません。もともとはアメリカで生まれた職業で、「思考と空間の整理の専門家」といわれていますが、要は「片づけの専門家」として、日々お客様の相談に乗っています。
私は幼いころから物事のしくみを考えるのが大好きな「リケジョ」でもあります。大学卒業後「アイシン・エィ・ダブリュ(AW)」というトヨタ自動車のグループ企業に入社し、7年間カーナビ事業部に勤めました。
ところが、仕事に夢中になる時期と結婚が重なったため、仕事と家事の両立に悩む日々。そこで、グループ会社全体に浸透していた「トヨタ式」と呼ばれる5つの仕事の効率化ロジックを家での片づけに取り入れてみたところ、短期間で効果が出ました。
トヨタグループには、モノづくりのベースに「カンバン方式」という手法があります。各企業が広大な工場を持っているにもかかわらず、在庫を極力持たず、必要なときに必要な分だけ作り、定期的に棚卸を行い、在庫の状態をチェックするのです。
拙著『トヨタ式おうち片づけ』でも詳しく紹介しているのですが、この「カンバン方式」の考え方をベースに、私が推奨している手法の1つが「片づけのムダとり」。それはモノの発見・活用によって空間を広げることです。同じ空間に住んでいると景観に慣れてくるので、不要なモノがあっても「この状態が当たり前」と思ってしまいがちです。でも、少し下がって俯瞰して見ると「ムダの発見」が正しくできるようになります。
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