「自宅のモノ溢れに悩む人」はトヨタ式に学べ しまいこんだ高級品はあえて使ってしまおう

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また、この「しまいこんでいた2軍」を「毎日使う1軍」に昇格させることで、「吊り戸棚」「天袋」のスペースがガラッと空きます。「分ける」で2軍行きになったモノたちを収納する場所が確保できるのです。

これにより、片づけ前はどの引き出しもギュウギュウだったという人でも、

・1軍はお気に入りのモノでゆったり収納

・2軍は少し手の届きにくい場所にまとめて収納

「モノを大切にする」

『トヨタ式おうち片づけ」(実務教育出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

「モノを捨てられない人はモノを買いすぎ」だと何度もお伝えしていますが、そういう方はもともとのストック数が多いのが特徴です。

お客様と一緒に片づけをしているとき、必ず出てくる大量の消耗品。

・化粧品/ヘアケア商品の試供品
・歯ブラシ
・旅館のお泊まりセット
・割りばし・スプーン
・ポケットティッシュ
・粗品のタオル
・エコバッグ
・スーパーのレジ袋
・ワサビ、からしのたれ

「モノを大切にする」ことについて、ここで一度考えてみましょう。
「宝物箱」に入れて押し入れの奥に置いておくことって、本当に大切にしていることになるのでしょうか?

お客様の家では、ティーカップなど、高級なモノであればあるほど使わずにひっそりと保管されています。皆さん口をそろえて「もったいないから使えない」とおっしゃるのですが、正直「何のために買ったんだろう……」と思わずにはいられません。

高価だからこそよく使うモノの代表として有名なのが、ペルシャ絨毯(じゅうたん)です。ペルシャ絨毯は踏めば踏むほど強度が増し、古くなればなるほど格が上がるといわれています。そのため、わざと人がよく通るホテルのエントランスに置かれていたりします。

わが家にも、ペルシャ絨毯と同じイラン製の「ギャッベ」という絨毯があります。夏はさらりとして冬は保温効果に優れ、100年以上の耐久性があります。

踏めば踏むほど強度が増し、古くなればなるほど風合いが出るイラン製のギャッベ

こちらも、購入当初はゴワゴワした手触りでしたが、私が家族に口酸っぱく「フローリングの上に立つならギャッベの上に立って」と言っていたこともあり(笑)、いまやほおずりしたくなるほどのしなやかさになりました。

私は、高価なモノであればあるほど「つねに誰かが使っている人気モノ」になるべきだと思っています。価格を飛び越えるくらいの使用頻度があって初めて、「これは買って正解」と思うのではないでしょうか。

香村 薫 ライフオーガナイザー/ミニマライフ.com代表

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こうむら かおる / Kaoru Koumura

大学卒業後、トヨタ自動車グループの「アイシン・エィ・ダブリュ(AW)」でカーナビの商品企画・統括業務を担当。仕組みで問題の原因をなくすトヨタ式問題再発防止策「なぜなぜ分析」に没頭。24歳で結婚後、仕事と家事の両立のため、夫婦でミニマリスト道を突っ走るもモノを捨てすぎて家中が空っぽになり、心身に不調を来す。そこで夫と一緒に「何のために片づけるのか」をなぜなぜ分析し続けた結果、モノの数を決めて仕組みで維持する片づけ方を考案。2014年、片づけサポート業務の「ミニマライフ.com」を開業。自宅開催のモノの減らし方講座には全国から受講者が集まる。

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