ロンドンは本当に多様性に満ちた都市なのか 現地20人に聞いてわかったテロとの距離感

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パキスタン移民のSyedさん(写真:筆者提供)

「イスラム教では、人類は平等だと教えられている。テロリストは人間じゃない。彼らの思想は、とても宗教とは言えない」

それは、同じイスラム教徒として一緒にしないでほしいという抗議の声にも聞こえた。さらに、Syedさんは「だから怖い」と漏らした。理性を持った人間ならば常識が通じるが、そうでない相手だからこそ何をしてくるかわからない、と。

「ねえねえ、さっきからそこで何をしてるの? 私にもしゃべらせてよ」と、自ら飛び込んできてくれたインド系移民のSheenaさん(35)は、テロについてまったく異なる見解を示してくれた。

テロについてまったく異なる見解を示してくれたインド系移民のSheenaさん(写真:筆者提供)

「今回のテロでも、確かに被害者が出た。だけど、“被害者”ならもっといるはずよ。シリアやバングラデシュなど、他の国ではもっと多くの人が亡くなっている。そういう不満や苦しみが存在するから、テロリストって生まれるわけでしょ」

決してテロ行為を肯定しているわけではない。だが、テロという愚かで残忍な行いに加担してしまう者たちも、また被害者であるという考えだった。

これまでインタビューしてきた人々と異なり、彼女はロンドンの多様性にも不満を示していた。

「昔のほうがマシだった気もする。昔は差別がなかったとは言わないけど、表立って行われることはなかった。それが、いまは公共の場でも特定の人種や宗教に対するヘイトスピーチを耳にするようになって……。経済格差があるような地域では、特にひどい」

「写真は後ろからなら」という条件でインタビューに応じてくれたのは、バングラデシュ出身のSyrihahさん(35)。先ほどのSyedさんと同様に、イスラム教徒としてテロリストへの怒りを隠さなかった。

カバンの中に爆弾が入っているのではと疑われたことも

「イスラム教は殺人を犯すためにあるのではなく、多様な人を受け入れ、愛するためにあるはずです。過激派のやっていることは間違いです。ただ自分たちのパワーを証明したいだけ」

では、彼女が思う「真っ当なイスラム教徒」は、ロンドンでどのような扱いを受けているのだろうか。

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