ロンドンは本当に多様性に満ちた都市なのか

現地20人に聞いてわかったテロとの距離感

こんなにも穏やかで平和な時間が流れる場所で、テロは起こった(写真:筆者提供)

英国会議事堂敷地内まで続いた現場

先月22日、凄惨(せいさん)なテロが世界中を震撼させた。イギリスの首都、ロンドン中心部のウェストミンスター橋で乗用車が暴走。次々と歩行者をはねた後、犯人は国会議事堂であるウェストミンスター宮殿の敷地内に侵入し、ナイフで非武装の警官を刺殺した。これまでに5人が死亡、40人が重軽傷を負ったことが確認されている。

現場を訪れた。ウェストミンスター宮殿正面の広場には、無数の花束やメッセージが捧げられている。イギリスの象徴ともいえる“ビッグベン”に見守られるようにして、人々は芝生の上でランチを広げたり、寝転んだりと思い思いの時間を過ごしている。青空がまぶしい。こんなにも穏やかで平和な時間が流れる場所で、テロは起こった。

実行犯は、ハリド・マスード容疑者。ロンドンの南東にあるケント州出身。20代の頃に傷害事件を起こして服役した際に、イスラム過激思想に染まったと報じられている。事件後、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出したが、事件との関連性は判明していない。

ここ数年で報じられるテロのほとんどがイスラム過激派によるもので、あまりイスラム教との接点を持つことが多くない私たち日本人のなかには「イスラム教=危険な宗教」という誤解を抱いてしまう人も少なくない。もちろん、そうした愚行を犯す者たちはイスラム教徒のなかでもごく一部であり、ほとんどの信徒は戒律を順守して静かに暮らす、穏やかな人々である。にもかかわらず、今回のようにテロなどのイメージだけが突出して伝わることで、日本人は誤った見方を抱いてしまいがちである。

ロンドンではイスラム教に対する偏見は存在しないのだろうか。さまざまな人種が暮らす多国籍都市。そのなかには、もちろんイスラム系の人々も含まれる。異なる文化、異なる宗教を持つ人々が同じコミュニティの中で暮らすロンドンは、本当に多様性に満ちた都市なのか――。私は、街頭インタビューを行ってみることとした。

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