一方、株価が上がるということは、一面矛盾しているわけですが、簡単に言えば皆様の給料を半分にして交際費などの経費を削減してしまえば、ROE(株主資本利益率)はたちどころに上がり、株価自体は間違いなく上がります。
アメリカは、いまや日本型経営をとりいれつつある
株価連動で報酬を得るというアメリカ型経営を取り入れている会社は日本でもかなり増えており、結局従業員の給料を削れば削るほど経営者の給料(ボーナス)は上がり続けると言う相関関係にあることに、どれだけのみなさまが気づいているのでしょうか?
その結果として実際に現場を支えている優秀な人材が流出し、将来を担う世代が不在になってしまうわけですが、何十億円も報酬をもらっているCEOにしてみれば、もらうだけもらって、あとは知らないよ、という話ですから、これほどおいしい話はない。要するに、企業のすべての内部留保を株主配当を優先するといって、食いつぶしてしまう。これがアメリカ型経営学のエッセンスで、MBAなどに行くとこういうことを教わってくるのです。
本家のアメリカではこの経営方法を続けると会社があっという間にだめになる、ということが広く認識され、日本型の経営手法をとっている企業が多数出てきました。今回のオバマ大統領の中間層をもう一度復活される、というメッセージはそれに則って出てきているわけですが、日本は安倍政権のもと、どうやら逆にさらに従来のアメリカ型経済運営に近づいて行っているような気がしてなりません。
日本には100年以上存在している企業が約2万社あるのだそうですが、これは世界でも類を見ない数です。300年以上の老舗でも400社以上ある。しかし世界的に見るとこれは極めて例外的で、イタリア・フィレンツェのある彫金加工業で創業300年くらいの会社があるそうですが、これが唯一、と言っていいほどです。
さらに言えば、会社の社員に対する訓示、あるいは社訓の中に「世の中のため、人のために仕事をしなさい」、とか、有名なのは住友家における住友吉左衛門の「浮利を追わず」などという社訓があるわけですが、こんなのは世界中見ても例がない。利益追求が会社の使命の筈なのですが、要するに付加価値をつけて消費者に喜んでもらえるような商品以外は作ってはならない、という住友家の教えであるわけですね。
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