東芝、「一つも失敗できない」生き残りへの道 半導体メモリ事業を売却できても不安は残る

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3月29日にはWHが米連邦破産法11条の適用を申請したことで、2017年3月期の東芝の連結決算からWHは除外される。これにより計上済みののれん減損の一部が消える。他方、東芝のWHに対する債務保証6500億円やWH向け債権1756億円の引当金が発生するため当期純損失は1兆0100円、債務超過は6200億円となる見通しだ。

まさに絶体絶命。

2期連続の債務超過だと自動的に上場廃止になるため、2018年3月期中に解消しなければならない。その切り札が半導体メモリ事業の売却というわけだ。

すでに3月末に1次入札を終えている。約10社が参加したが、4陣営ほどに絞り込まれてきている。台湾の鴻海精密工業が3兆円近い金額を提示するなど、債務超過解消に必要とされる2兆円という金額で売れる可能性はある。

ただし1次はあくまで仮条件を提示であり、安心はできない。

同業他社への売却では独占禁止法への抵触が懸念され、技術流出を懸念する日本政府は外国為替及び外国貿易法(外為法)をチラつかせてけん制を試みる。さらにメモリの提携相手でもある米ウエスタンデジタルが独占交渉権を求めるなど、先行きは混とんとしてきた。虚実ないまぜのし烈な交渉はまだほんの序盤戦なのだ。

「メイン寄せ」が少しずつ進行

東芝は、融資に付されている財務制限条項に抵触した状態で、取引金融機関に融資残高維持を要請して支援を受けている。もっとも、一部の地銀は融資を減らし出しており、いわゆる「メイン寄せ」が少しずつ進行している。

「東芝を可能な限りサポートする」(主要行首脳)。主行が東芝支援を表明しているのも、メモリを売却すれば債権保全に不安がないと考えているからだ。

メモリ売却が思わぬ安値に終わった場合、銀行団の態度も変わる恐れがある。

複数の取引銀行関係者からは「メモリを安売りするくらいなら上場廃止でも構わない。そのほうが上場維持のために無理を重ねることなく、必要な改革にじっくり取り組める」という意見も聞かれる。銀行にとっても上場廃止は避けられるなら避けたい。ただメモリの高値売却のほうが優先順位は高いのかもしれない。

メモリの売却がうまく行った先の東芝の姿はどうなるのか。

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