東芝、「一つも失敗できない」生き残りへの道 半導体メモリ事業を売却できても不安は残る

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2017年3月期見通しから、単純にWHとメモリを除くと、売上高では約4兆円、営業利益1416億円と意外と悪くない。これを2019年度に4兆2000億円、2100億円まで引き上げる目標を打ち出している。

地味な新生東芝にまだ残る損失リスク

事業売却がさらに進展する可能性や、HDD(ハードディスク駆動装置)など足元の市況要因から出来過ぎ感がある事業もあるため、売上高、利益ともに目標のハードルは高い。しかし、半導体のような巨額の投資が必要な事業はなくなり、エレベータや空調など安定収益を上げている事業の比率が高まれば、地味だが安定した新生東芝として生き残りの道が開けるかもしれない。

それでも不安要素はまだ残っている。

その筆頭のフリーポート。米国での液化天然ガス(LNG)の加工施設の20年間の利用契約で、最悪1兆円の損失リスクがある。20年間のうち一定期間については8割を買い手と契約を結んでいるため1兆円丸々損失はないとしても、キャンセル可能な条件であることなどを考えれば、数百億円単位の損失は十分にありうる。

2011年に23億ドルで買収したスイスの電力計大手ランディス・ギアは1654億円ののれんがある。東芝は「のれん減損の兆候はない」と繰り返してきたが、常に減損が不安視されている。

リスクを切り離したはずのWHに対しても、顧客である電力会社からの訴訟リスクは消え去ってはいない。

上場廃止の回避、メモリ売却、フリーポート。何か一つでもうまくいかなければ、新生東芝は座礁しかねない。そんな綱渡り状態が続いている。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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