東芝、「一つも失敗できない」生き残りへの道

半導体メモリ事業を売却できても不安は残る

東芝の行く手は視界不良だ(撮影:今井 康一)

もはや開き直りとでもいうべきか――。

東芝は4月11日、2016年4~12月期決算を発表した。監査法人の承認が得られず、当初の2月14日から決算発表を2度延期していた。「聞いたこともない」(金融庁関係者)という3回目の延長は何とか回避したが、ようやく発表した決算は、監査法人からの適正意見を得られない「意見不表明」のものだ。

「今後、適正意見の表明をいただけるメドが立たない。ステークホルダーにご迷惑ご心配をかけることはできないため、きわめて異例だが、『不表明』で第3四半期決算を公表した」。綱川智社長は不表明の理由を説明した。

週刊東洋経済は4月17日発売号(4月22日号)で『東芝が消える日』を特集。社員16万人を擁する名門企業の瀬戸際を追っている。米原子力事業子会社ウエスチングハウス(WH)で巨額損失の可能性があると東芝が発表したのは2016年末。これをきっかけに、PwCあらた監査法人から調査を求められた。その後、WHの経営者が損失を小さく見せるよう不適切な圧力をかけたことが発覚。PwCは過去の会計期間に損失を計上すべきだったのではなか、という疑念を抱く。

週刊東洋経済4月17日発売号(4月22日号)の特集は『東芝が消える日』です。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。週刊東洋経済編集部では、東芝に関する読者の皆様からの情報提供を募集しています(記入先はこちら

東芝の監査委員会は60万通の電子メールの調査、数十人のWH関係者へのインタビューを行ったが、過去の会計期間で「確度を持って損失を認識できた証拠は認められなかった」(監査委員会委員長の佐藤良二社外取締役)と結論づけた。

結局、会社と監査法人の溝は埋まらなかった。

2016年4~12月期は「不表明」で乗り切ったが、2017年3月期本決算はどうするのか。監査意見「不表明」の決算報告書でも上場廃止にならない。が、監査法人と対立したままで、「不表明」さえ拒まれれば、有価証券報告書を提出できず、今度こそ上場廃止だ。

東芝は、東京証券取引所から内部管理体制に不備があると「特設注意市場銘柄」(特設銘柄)に指定されており、その解除に向けた審査中。「不表明」の決算しか出せない現状では、改善の見込みがないと判断されても文句はいえないはずだ。

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