「行き場のない手紙」を預かる郵便局長の思い

瀬戸内海・粟島の"漂流郵便局"を訪ねる

漂流郵便局の臨時局長だった中田さんは、いまも個人でこの郵便局を維持している

拝啓 読者の皆様。この記事を読んでくださり、ありがとうございます。不思議な郵便局の話をさせてください。

当記事は「週刊女性PRIME」(運営:主婦と生活社)の提供記事です

瀬戸内海の真ん中に浮かぶ小さな島、粟島にある「漂流郵便局」をご存じでしょうか。“届くはずのない相手への手紙” を代わりに受け取って、大切に預かってくれるのだそうです。

今は亡き大切な人へ、何年たっても記憶の隅にふらりと現れる元恋人へ、産めなかった赤ちゃんへ、過去や未来の自分へ──。“返事が来ないとわかっていても伝えたい気持ち” が手紙に託され、ここに流れ着くといいます。なぜ人は行くあてのない便りを送るのでしょうか。その理由が知りたくて、ここを訪ねることにしました。

こんな郵便局を作ってくれてありがとう

出迎えてくれたのは局長の中田勝久さん(81)。まず郵便局が誕生した経緯を、お話ししてくれました。

「きっかけは3年前の『瀬戸内国際芸術祭2013』。現代アーティストの久保田沙耶さんが空き家だった局舎に明かりをともし、作品として開局しました。粟島は穏やかな海水が交差し、昔から多くの漂流物が流れ着く島。そんな歴史を知って、さまざまな思いの便りがここへ流れ着くことを発想し、現代アートとして展示することになったんです」

そのとき、粟島で郵便局長を10年務めた中田さんは、臨時局長に任命されました。1か月で約400通の手紙が届いたといいます。

本来なら、作品はここで撤去されるはずだった。でも中田さんはこの郵便局を残すことを望みました。

「誰かに聞いてほしい思いを手紙に書くことで救われる人がいる。そう思ってね。“維持費は僕がもつ。毎日、郵便物にも目を通して大切に預かる。だから月2回だけ開局してみなさんに見学してもらうのはどうでしょうか?” 気づけば、そう口走っていました(笑)」

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