「出稼ぎ日本人」も無縁じゃない豪州のひずみ 増税をめぐる混乱の陰でグレーな雇用が横行
日本人のワーホリ滞在者に影響はあるのだろうか。現地で取材をすると、にわかにざわついた空気が流れているようだ。
メルボルンにある飲食店でアルバイトをするA君(20代後半)。日本では料理人の修業をしていたというが、のんびりしたオーストラリアの雰囲気にほれ込み、ワーホリを選択した。「いやぁ~もし本当にこれでワーホリ税が32.5%なんてなったら、カナダにでも移ろうかと真剣に考えるワーホリ友達もいましたよ。みんなかなり話題にしていましたね」。
色とりどりの野菜を器用にスライスしながら、人懐っこい笑顔を浮かべて話してくれた。つまり、最低賃金が高くとも、32.5%もの課税が戻ってこないのならば、日本でアルバイトをしているのと変わらない稼ぎとなる。そのため、ワーホリ大国・カナダや近隣のニュージーランドへの移住を検討し始める人が出始めたのだという。
「出稼ぎワーホリ」政策に異変?
これに猛反発したのがオーストラリアの農業や観光業界関係者だった。
「ワーキングホリデー制度」は、表向き「各々の国・地域が、青少年に文化や一般的な生活様式を理解する機会を提供するため、一定期間の休暇を過ごす活動とその間の滞在費を補うための就労を相互に認める制度」と規定されている。
ところが、実際は地方の産業や農業などの働き手不足を補う頼みの綱となっている。特に農業では、野菜や果物の収穫の繁忙期には、ワーホリの若者たちがいなければ成り立たないほど、貴重な労働力として頼っているのが現状だ。労働力全体の約4分の1をワーホリ滞在者に依存しているとするデータもある。
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