昨年までなら合格していた受験生が、今年は8000人も不合格となってしまったのだ。この大手大学による合格者の絞り込みの影響で、2月の入試で不合格者となった受験生は、現役進学にこだわり、その後に行われる入試に殺到。3月に行われた入試の志願者は、昨年に比べて14%増えた。
このような大手大学の動きは、逆に学生募集に厳しい大学には、救いとなった。定員割れを続けていた大学が、「今年は定員を超える入学者になった」と胸をなでおろすことも、少なくなかったようだ。中でも、大都市圏で定員割れだった大学にその傾向が見られ、皮肉にも地方創生より大都市圏の大学を助けた結果となった。
そもそも、首都圏など大都市圏の大学に向けて、地方からの受験生は多くなかった。多くが「首都圏在住なら首都圏の大学」という、その地域内で大学を選ぶ傾向が強かった。この結果は予測通りともいえるだろう。ただ大都市圏の入試を厳しくしただけとの批判もあるようだ。
進学高校の教諭は大学の教育体制を熟知
2018年はもっと大規模大学が入学者を絞ると思われる。受験生にとって私立大入試は、さらに厳しくなると見られている。2018年入試に向けて一般入試の厳しさを見越した対策が必要になるだろう。併願校を増やすだけではなく、推薦やAO入試で早く合格を勝ち取ろうという動きが出てくる。入試も大きな動きがありそうだ。
入試が厳しくなれば、大学選びも、「入りたい大学選び」から「入れる大学選び」に変わりがち。そうならないためにも、大学選びはよく中身を検討することが大切だ。大学通信は毎年、全国約2000進学校の進路指導教諭に対し、アンケート調査を実施している。2016年の調査では711校から回答を得たが、その中で「入学後、生徒を伸ばしてくれる大学」はどこかを聞いた。5校連記で大学名を記載してもらい、最初の大学を5ポイント、次を4ポイント、以降、順に3ポイント、2ポイント、1ポイントを与えて、ランキングを集計した。
どこの大学も、入学後、学生を伸ばすことに力を入れている。最近、多くの大学で導入するようになってきた初年次教育は、その最たるものだろう。それまで受けてきた教育と大学教育の橋渡しをすることで、大学での学びをスムーズにできるようにする。
ただ、その後の教育で大学が生徒を伸ばしているかは、なかなか見えてこない。やはり、長年、大学や、進学した生徒を見てきた高校の進路指導教諭の意見を聞いてみるのが最善だ。今は生徒が母校を訪ねる機会が多く、生徒の成長ぶりを確認するだけでなく、大学のさまざまな取り組みも耳に入ってくる。そうした情報も加味して大学を評価している。
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