子どもの病気やケガは突発的に起こることが多いことから、休みを取りたい当日に、口頭で申請することが認められているのもこの休暇の特徴。法律上「労働者の氏名」「子の氏名及び生年月日」「看護休暇を取得する年月日」「負傷・疾病にかかっている事実又は疾病の予防を図るために必要な世話を行う旨」の4つを申し出れば取得できることになっており、病気の種類や程度に特段の制限はありません。
したがって、風邪による発熱など、病院にかからずに短期間で治る病気であっても、社員が必要と考える場合には申し出ができます。加えて、予防接種を受ける場合や健康診断など、病気の予防を図るために取得することも可能。予防接種については、法律で定める定期の予防接種以外のもの、たとえばインフルエンザ予防接種なども含まれます。
気になるのは、休暇を取得した日が「有給」か「無給」かでしょう。その取り扱いは会社のルールによって異なります。無給の場合、休んだ日の給与はカットされるため、年次有給休暇がたくさん余っているなら、年次有給休暇から使っていこうという考え方もあるでしょう。
ただ、子の看護休暇が「有給」で休むことができるのであれば、仮に小学校に入学する前のお子さんが2人いる場合、手持ちの年次有給休暇のほかに、プラス10日を有給で休むことができるわけです。
2017年1月からは、半日単位で休めるように
子の看護休暇制度が創設されたのは2002年。当時はまだ努力義務でした。2005年に義務化され、2010年に子が2人以上の場合の日数追加と疾病予防等を目的とした取得も認められるようになりました。さらに2017年1月からは、半日単位での取得も認められるように法律が改正され、仕事と育児の両立を支える環境が拡充されています。
会社によっては、対象となる子の範囲を、小学生や中学生にまで拡大している場合もあるので、あなたの会社のワークルールを確認しておくとよいでしょう。取得の範囲についても、会社によっては時間単位で可能なケースもあります。
ただ、転職したての方は要注意。会社が「入社6カ月未満の社員」と「週所定労働日数が2日以下の社員」は、子の看護休暇の取得にあたって適用除外とする労使協定を締結している場合もあるので、きちんと確認をする必要があります。
こうした労使協定がなければ、転職して間がなくても取得することができるため、有給休暇がまだ使えない場合でも活用することができます。
実際に、このようなケースがありました。A社に転職した高橋さん(仮名)が入社後2カ月経たない頃、保育園に通うお子さんがインフルエンザを発症しました。この会社では、入社6カ月を経過しないと年次有給休暇が付与されません。ただ、同社では子の看護休暇に関して労使協定による適用除外規定を設けておらず、しかも「有給」でした。こうして、高橋さんは給与をカットされることもなく休暇を取ることができ、入社早々のピンチを切り抜けることができました。
子育て中の社員にとって、「子の看護休暇」の存在は心強いものです。子どもが病気やケガの際に休暇を取得しやすくし、子育てをしながら働き続けることができるようにするための権利として、位置づけられています。女性社員ばかりでなく、男性社員もうまく活用して、子育て期をうまく乗り越えていきましょう。
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