シトロエン「キモカワ系」小型車の意外な魅力

「C4カクタス」、実は優れたアスリートだ

いったん走り出してしまえば、軽量ボディと巧妙なギアリングがカクタスを、じつにスムーズに走らせる。得意科目はもちろん高速巡航で、ハイドロニューマチックこそ持たないものの、乗り心地はまさにシトロエン、停止状態からアクセルを踏み込むと、一瞬クイッと沈み込んでからフラットになり、そのままウニウニと路面の凸凹をいなしながら走り続ける。

いかにもタイヤがか細げで、存在を感じさせない。が、205/50R17と意外と太くて径がデカイことに驚いたのである、筆者は。感覚的には185/60R16ぐらいに思える。

丸くて四角い変形のステアリングホイールは正確で、狙ったラインにつけることができる。道路が曲がっていると、自然なロールを見せながら、タイヤが踏ん張る。ロード・ホールディングがイイ。陸の上ではヨタヨタ歩いている旭山動物園のペンギンが水の中に入ると、水を得た魚さながらに泳ぎ回るように、C4カクタスもまた、高速道路に上がると優雅に水上を走るクルーザーに変貌する。

伝統的なクルマづくりの王道

ボディのサイドにAIRBUMP(エアバンプ)と名づけられたポリウレタン製の装飾がついている。これは空気を内包していて、4㎞/hまでの軽い衝撃からボディを保護する。シトロエン独自の、世界初の特許である。日本仕様では茶と黒しか設定がないけれど、本国では4色から選べてパーソナライゼーションのキーになっている。

ボディ・カラーは白、黄、水色、赤、黒と5色あって、AIRBUMPは白のみ茶になる。内装はファブリックとベロア、2種類のシートの違いで、前者が238万円、後者が241万円と、誰にでも手の届く価格におさまっている。

なにしろ限定200台は公式には完売なので、お近くのシトロエン・ディーラーに問い合わせされたし、と現時点では申し上げるほかない。クロスオーバーといっても、全高は1530㎜なので、たいていのタワー式駐車場にも入るのではあるまいか(入らないのもあるかも、です)。

3月中旬のことだけれど、筆者はイタリアのローマでC4カクタスを2度見た。2台とも地味な黒っぽいボディ色で、3000年近い歴史を持つ古都にふさわしいシックさだった。

で、そのとき筆者が意外だったのは、日本で見たときほど目立っている印象を受けなかったことだ。ひとつにはカラーリングのせいもあるかもしれない。黄色はたしかに派手である。でも、シックな色を選べば、シックなのである。

シトロエンのこの新型クロスオーバーは、一見奇抜なようだけれど、じつはシトロエンの(ヨーロッパの、といってもよいけれど)伝統的なクルマづくりの王道をいっている。徹底的に実用的で、知性的なのだ。

(文:今尾直樹/写真:望月浩彦)

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