シトロエン「キモカワ系」小型車の意外な魅力 「C4カクタス」、実は優れたアスリートだ
油圧サスペンションがもたらす乗り心地は快適そのもので、当時は少数派だった前輪駆動ならではの正確なハンドリングと直進安定性も大いなる長所だった。人気を博したのも当然で、1986年に生産が終了するまでに累計200万台が生産された。
ただし、ハイドロニューマチック・サスペンションはそれ自体が慢性的な病ともいえた。ブレーキも足回りと同じ油圧を使う理想主義的な設計に工作精度が追いついていなかった。オイル漏れは当たり前だった。あまりの信頼性の低さ、メインテナンスの煩雑さにメカニック諸氏が辟易した。鉄板の薄さに「手ぇ切るんだよね」と、その昔、崎山自動車の崎山和雄さんが笑いながら話しておられた。
ここにご紹介するシトロエン C4カクタスは、クロスオーバーという仕立てではあるものの、GS、ZX、クサラ、C4と続く系譜に連なる最新モデルである。ヨーロッパでは2015年、日本では昨16年秋に登場したこのC4カクタスが、結核病みの美少女のような、つまりGSを彷彿させる魅力を持っていたことに、筆者は感慨を催さずにはいられない。
あっという間に売り切れ
21世紀の今日において、結核はもはや不治の病ではない。はずなのだけれど、C4カクタスときたら、コンコンと咳き込むように、ギクシャクしながら発進するのだ、いつも。特に渋滞においてはことさらに。
それはアイドリング・ストップ機能によるエンジン停止から再始動のタイミングが現代の基準をもってすると、ものすごくのんびりしているから、ということに尽きる。その証拠にアイドリング・ストップ機能を停止にすると、はるかになめらかに発進することができる。おそらく始動用のモーターと電池の容量が小さすぎるのだ。
おまけにC4カクタスの日本仕様は、1.2リッター3気筒エンジンに、いまどき時代遅れのシングル・クラッチの5段電子制御オートマチックという、はかなげなギアボックスをあてがわれている。