世界を震撼させる「10月ショック」に注意せよ 「見せかけの株価上昇」のあとに、来るものとは?

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再び、強烈な円高?

かつて私はこのコラムの中で「複合リスクの同時多発的な炸裂の可能性」について触れたことがある(→記事はこちら)。そこでも述べたことであるが、要するにこれから生じるリスクの炸裂は決して単体で生じるものではないのである。むしろそれらは「複合リスク」と言うのにふさわしいくらい相互に絡み合っており、かつ「同時多発」とでもいうべき炸裂の仕方をするのだ。その結果、世界は、そして国内外のマーケットは極端な崩落、もっといえば「瓦落(がら)」というべき時を迎えることになる。「もはや金融資本主義は終わった」といった論調が横行するのは間違いない。

こうした展開、すなわち「10月ショック」とでもいうべき流れの中でわが国はというと、ほぼ間違いなく生じるのが「強烈な円高転換」である。そしてそれと同時に「金(ゴールド)」への国際マネーの収斂も起きて来るはずである。なぜならば、これらはいずれも今回の金融メルトダウン以降、「いざという時に購入すべき金融商品」として好んで買われてきた経緯があるからだ。そしてその結果、日本株は未曽有の円高ショックに見舞われ、「円安誘導による日本株上昇」を内実とするアベノミクスに支えられてきた第2次安倍晋三政権は、たちまち瓦解の危機に瀕することになる――。

「それではわが国も再起不能になってしまいますね。それでもなお、わが国が世界中で生じる阿鼻叫喚にも似た大混乱の状況から、抜け出す道のりはあるのでしょうか」

「猛者」から電子メールでこう尋ねられた私の脳裏には、ふとある「嫌なこと」が頭に浮かんだ。もっともそれは何ら根拠がないことではない。

1929年に始まる世界大恐慌の前に、わが国では1927年に昭和金融恐慌が発生していた。だがそうした昭和恐慌の前に、ある「決定的な出来事」が起こっていた。それは「関東大震災(1923年)」である。

「帝都」を瓦解させたこの大震災から復興を遂げるため、わが国は東京市、横浜市(いずれも当時)のための外債を発行し、ニューヨークやロンドンで売りさばいた。なぜならば当時のわが国に単独で復興するだけの余力がなかったからだ。このことによって米欧からマネーを吸収し、復興事業を大車輪で始めることに成功したわが国は、ほかよりも早く始まった金融恐慌にもかかわらず、その後の「世界大恐慌」では重症を負わずに済んだとういわけなのだ。

次ページ再び、このままだと、富は国内から国外へ?
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