たとえば慶應義塾大学あたりになると、ひと声かけるとあっという間とはいいませんが、数十億円単位で寄付金が集まります。これも立派なビジネスモデルであって、福沢諭吉先生の建学の精神をたたき込むからこそ、いうなれば塾生全員が等しく福沢先生門下に集結するという、いわばあの世界的な通販会社さんも真っ青になるくらいの「集金システム」ができているわけです。
これぞ究極の大学ビジネスモデルだと思います(ちなみに慶應義塾大学では先生はいません。教授はみな「君」付けが慣習となっている。たとえば山口先生、ではなく学生は山口君と呼ぶのです。なぜか? 先生は福沢諭吉のみだから、という徹底ぶりなのです)。
そして、特に国立大学はどこに行っても、一等地を確保しているケースがすごく多いですよね。地方ではありませんが、東京大学なんて、これを真面目に活用したらとんでもない収益を稼げるような立地ですよ。独立行政法人になったんですから、町の中心地を占有する国立大学の資産運用は地方活性化において非常に大きな可能性を持つはずです。
「学校が金儲けするなんてけしからん!」とかすぐ言い出す人がいますが、研究費が足りないとか文句言っている暇があったら、「さっさと自分で稼ぐ方法を考えなさい」、と言いたい。そんな知恵も出せず、実行力もない人が経済学部の教授とかやっていること自体がナンセンス!
実は、戦前はそういう特色が日本の大学にも数多く残っていたと聞きます。今でも一部は残っていますが、「獣医師になるなら北海道大学」「法学部や鉱物学科は東北大学」。また、たとえば今の一橋大学は東京商科大学として、会計士になるのでわざわざ東大を外してでも目指す学生も多くいたし、今の横浜国立大学も横浜商科大学時代はそういう位置づけだったと聞いています。また、北海道の小樽商科大学も同じく金融界に多くの人材を輩出してきました。
尖った特徴を出せば、学生は世界中からやってくる
そういう特徴があったはずの日本の大学が、おしなべて金太郎あめのような存在になってしまった一因には、政府がとった政策の背景があるのも事実ではないでしょうか(ちなみに真っ先に「非難」した千葉大学は千葉医学専門学校が母体なので、医学部がルーツで、こういう医専から発生した地方大学は数多くあります)。
これは地方創生でもなんでも共通することなんですが、「お前の特徴はなんなんだ!?」というカラーを明確にできないと、もう地方大学に未来はないということです。ほかの人と同じ金太郎あめじゃダメ。ここの大学は偏差値は低いかもしれないが、この学部にはこういう特徴がある、それも世界レベル、というとんでもなく尖(とが)った特徴を出さねばなりません。そうしなければ学生は絶対に東京に集中します。今後もその流れは変わりようがありませんが、しかし、そうなれば東京はおろか、世界中からやってくる学生がいるということも、また事実なのです。
千葉大学のみなさん、東京にキャンパスを創るなんて間違っても言ってはいけませんぞ。千葉県は東京都ではないのです。「千葉県のために全力で頑張ってくれ……」と言っても、無駄でしょうか。
(お知らせ)4月25日(火)、ぐっちーさんや木下斉さんも登壇する「超・生産性会議」(お申し込みもこちら)が東京・品川の「東京コンファレンスセンター」で開催されます。「地方創生」「働き方改革」「生産性」「インバウンド」など、「明日の日本と自分」を真剣に考えている方々、ぜひお越しください。必ず「突破口」が見つかります!
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