「東京化する」千葉大学よ、それでいいのか なぜわざわざ東京に「新キャンパス」なのか

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岩手県全体で見ても、宮沢賢治と石川啄木という近代文学の「2大巨頭」がほぼ同時に現れるなど、他県にはない特徴がある。しかし、たとえばですが、これを文化の中心に据えて、文学に特化した学部を岩手大学が創ろうとした、なんて話は聞いたことがありません。

2人の巨頭が出身した県の大学だから、文学部といえば岩手大学だ……とは残念ながらなっていない。文学部志望の学生であえて目指すのは、慶応義塾大学か早稲田大学くらいになってしまいますね。これはまさに「宝の持ち腐れ」、といえましょう。

もちろん、岩手大学に限ったことではなく、東京の高校生が「こういう勉強をするなら、あそこの大学だよね」、という選択肢が地方の国立大学にある、という話は、いまやまったくといっていいほど聞きませんよね。

どこどこ大学のあの学部はこういう特徴がある、というのがまったく見えない。地方国立大学はあれだけ税金を投入して、結局医学部以外に存在感がゼロ、その医学部も偏差値上の上下で選択されるだけで、ここの医学部、と特定の地方を目指してくる学生はほとんどいないというのが現状ではないですか? どうして、そういう方向性が目に見える形で見えてこないのか、事業家目線でみると不思議でならないわけです。

「予算が少ないから」は、言い訳にすぎない

こういう話をするとすぐ予算が少なくて……と言う人が必ず出てきます。研究費があまりにも足りないというわけですね。

しかし、いつも言うように貧乏を理由にしていたら、広島東洋カープはとっくになくなってましたよ! 貧乏を逆手にとってやるくらいに気概がなくてどうするんですか! ノーベル生理学・医学賞を受賞された山中伸弥先生だって、少ない研究費のために、日夜資金集めに奔走し、揚げ句の果てに自らマラソンに出て、チャリティで賞金を集めて回っていたんですよ。

今このご時世におカネを集められない、なんてのは言い訳になりません。30年前と違い、社会資本は各段に蓄積され、ほぼゼロ金利のこの状況で資金が集められない、というのではご本人に「能力がない」といっているのと一緒です。

せっかく日本47都道府県に国立大学があるわけですから、それを中核に地方創生を図るというのは極めて理にかなっています。すぐインバウンドとか言い出すわけですが、特色のある大学さえ創ることができれば、FBなどで、タダで拡散され、いまや世界中の学生を集めることができます。世界の人々が集まる特色のある地方国立大学ができれば、それこそ究極のインバウンドではないでしょうか。

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