「大磯町」は神奈川観光の第4の核になれるか 旧吉田茂邸の一般公開開始

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これは、スマートフォンやタブレットで無料で使えるアプリで、「昔」の写真を手掛かりにして同じ場所を探して「今」の写真を撮影し、昔と今の写真をセットでアプリに取り込み、画面上で比較することができるというものだ。

この今昔写真アプリにはナビゲーション機能が搭載され、地図上からも写真を選択できるため、観光ナビアプリとしての活用も期待されている。

多くの別荘などが現状、非公開であることを補うという意味でも、別荘地として繁栄した昔の町の雰囲気を写真を通じて味わうことができる同アプリは、観光促進に有効なツールと言えよう。

ただ、昨年リリースされたばかりということもあり、今現在、アプリには50枚程度しか写真が登録されておらず、観光ナビアプリとして活用するには、今後、写真の登録枚数を増やしていかなければならない。

大磯を取材しての総括をするならば、“神奈川観光の第4の核“になりうるポテンシャルは十分にあるものの、インフラなど、訪問客の受け入れ態勢が十分に整っていないというのが正直な印象だ。

ただし、実際に訪れてみればわかるが、かつての別荘地・保養地の雰囲気を残し、静かな環境を享受できるのが、大磯の魅力であり、最近は、大磯の静かで自然豊かな環境を求めて移住してくる人々が、世代を問わず多いという話も聞く。

観光客が大挙=観光の核ではない

大勢の観光客が大挙して押し寄せるような、横浜・鎌倉・箱根のような観光のあり方は、そもそも大磯の住民自身が望んでいないだろう。“観光の核“になるといっても、それにもさまざまなあり方があってよいように思う。

町産業観光課にも話をうかがったが、“大磯らしさ“を失わずに、訪れた人々に町のよさを認識してもらい、町を好きになってもらう。そして最終的には大磯に移住する人が増えるような方向での観光のあり方を、現在は模索しているという。

県の目指す国際的な認知度の高い観光地を創出するという方向性とは乖離があるのかもしれないが、着地型観光が叫ばれて久しい現在、大磯が模索するような地に足の着いたプランも、目指すべき観光のあり方のひとつの類型であることは間違いないだろう。

森川 天喜 旅行・鉄道作家、ジャーナリスト

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もりかわ あき / Aki Morikawa

現在、神奈川県観光協会理事、鎌倉ペンクラブ会員。旅行、鉄道、ホテル、都市開発など幅広いジャンルの取材記事を雑誌、オンライン問わず寄稿。メディア出演、連載多数。近著に『湘南モノレール50年の軌跡』(2023年5月 神奈川新聞社刊)、『かながわ鉄道廃線紀行』(2024年10月 神奈川新聞社刊)など

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