では、GDでは、何を見られているのだろうか。基本は個人面接やグループ面接では判断することができない「チームで働く力」を見ている。経済産業省が2006年から提唱する「社会人基礎力」では、チームで働く力として次の6項目を能力要素としているが、企業の着目ポイントともほぼ一致しているので、覚えておいた方がよいだろう。
・傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力
・柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力
・情況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
・規律性:社会のルールや人との約束を守る力
・ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力
発言内容における「独創性」「論理性」「分析力」「知識」といった個人能力ももちろん見られているので、グループ内での振る舞いに注意するだけではだめだ。
GDを進めていく際、次の4つの役割を決める必要が出てくる。
・書記
・タイムキーパー
・発表者
グループメンバーはライバルではない
この役割を明示して、グループ内で担当を決めることから始めさせるケースもあれば、テーマを与えたら即スタートというケースも多々ある。担当決めの指示がない場合でも、この4つの役割を決めるところから始めておきたい。これらの進め方も面接官からチェックされている。
重要なのは、同じグループのメンバーを、決して敵だと思わないことだ。むしろ“同士”だと思った方がいい。あなたがいくらがんばろうが、グループが時間内に与えられた課題に対して結論を導き出すことができなければ、グループ全員が不合格になることだってある。まず大事なのは、グループのメンバーが協力して、与えられた課題をクリアすることである。1つのグループから次の選考に進めるのは、1人とか2人と決まっているわけではない。各メンバーがそれぞれの役割を果たし、チームで働く力と個人能力のいずれも優れていれば、グループメンバー全員が選考を通過することだってある。
役割決めでは、司会進行に立候補することでリーダーシップをアピールできると考えがちであるが、一概にプラス評価になるとは言えない。メンバーの議論をうまくファシリテートできなければ、逆にマイナスイメージになってしまう。見ず知らずの学生同士でグループを組むので、どんな考え方や対人行動をとるかはわからない。メンバーをまとめるのは、いつもの気心の知れた仲間をまとめるのとは違う。その前提を踏まえたうえで立候補するか決めてもらいたい。
司会進行役が他より評価されやすいわけでもない。書記、タイムキーパー、発表者も、それぞれの役割を果たすことで、同等の高評価を得ることはできる。いずれの役割にもならなかったメンバーについても、各役割者のサポートをうまくできていたり、独創的なアイデアや局面を打開する新しい視点を提示することで、十分、プラス評価を得られる。
役割が決まったら、いよいよ本番スタート。GDの進め方は、次の6つのステップを踏むのが主流だ。特に企業側から指示があるわけではないので、覚えておいた方がよいだろう。
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