尾河:4月は米国財務省の「為替報告書」が出る。トランプ大統領は「就任したらすぐに中国を為替操作国に認定する」といっていた。それなら、4月に認定するというのもなきにしもあらずですが、中国は「人民元買い」をやっているわけで、そこに文句は付けられない。
対米黒字が許せないということでしょうから、まあ、どこかのタイミングで、中国をやり玉にあげれば、そのあおりで円高があるかもしれないけど、あくまでも一時的だと思う。ただ、そういうツイート的な口先介入があるので、ドル高もゆっくり。
岩下:私もドル高基調と見ています。FRB(米国連邦準備制度理事会)は3月に0.25%の政策金利の引き上げを実施しましたが、少なくとも年内にあと2~3回利上げがあるでしょう。米国の長期金利は2.6%を上回る水準になって、年内には3%を抜けると見ています。日本だけダメなんですが、米国もドイツも物価がシッカリ上がっている。経済物価見通しのリスクバランスも上振れ方向です。
それと、トランプ大統領はまだ何にも経済政策は打ち出していないけれど、株高になったことで「アニマルスピリッツ」という言葉がまた流行している。以前に「女子アナ連載」でも書きましたけど、いよいよ「グレートローテーション」(債券から株への大転換)に向かう。そうすると1ドル=120円を上回るドル高もあるのかな。
マンハッタンの住宅売り出し価格は200万ドル
大槻:テイラールール(需給ギャップに応じて金融政策を決めるルール)から言うと、利上げ方向ですよね。
リスクという意味では不動産の価格上昇がハンパない。普通、人口増加率と住宅価格にはかなりキレイな相関があるんですけど、いくつか例外があって、今の北米は人口増加率では説明できない住宅価格の上昇がこの5年ぐらい続いていて、やはりバブル。昨年12月のニューヨーク・マンハッタンの住宅売り出し価格、平均でいくらだと思います?
東京23区の平均売り出し価格、これはいろいろな広さの部屋が混ざってますけど、6600万円。これがマンハッタンは200万ドル。やっぱり史上最高値ですよ。フリップ率 (flipping rate)にも注目していて、これは同じ物件がどれだけ回転するかという比率ですが、1年以内で2回以上の比率が最近の中では最高になっている。そもそも、国内情勢をみたらFRBの利上げはやや遅きに失していると思います。