今の日本の経営者は、しょうもなさすぎる テラモーターズ徳重社長、イノベーションを語る(中)

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もうひとつは先ほど言ったリーダーです。やはり日本の最大の問題は、優秀な人材がいないことではなくて、優秀なリーダーがいないことです。

リーダーは大変な状況の中で、しがらみも断ち切って、反対する人も全部うまく説得して、新しい道を開いて、それで実際に成功させる人。そういう意味では断固とした覚悟とコミットメントが必要で、それには危機を乗り越えることが必要です。サムスンも最初から今みたいだったわけじゃない。会長がずっと変われ、変われ、変われ、変われと言っていたけれど、ずっと変わらなかったのです。

でも1998年のアジア危機で一回、韓国が破綻して、IMFの管理下になり、とことん地獄を味わった。これからは国にも会社にも頼らないといって韓国人は頑張ったわけです。

僕が好きな日露戦争のときもそうです。日露戦争のときはリーダーもすごかったけど現場の人もすごくて、それはやはり自分たちがつくってきた明治の国家がなくなるかもしれないという危機感があったので、みんな、頑張れたわけですね。

そういう意味では日本は今、財政赤字の問題とか、いろいろな課題が山積みだと思うのですが、それから目を背けるのではなくて、だからこそ逆にやらなければいけないと奮起すべきだと思います。

ビジョンに共感して人が集まる

ベンチャーにはカネも人材も集まらないと言われていますが、うちの会社には元日産とか、トヨタとか、ヤマハの優秀なやつも入ってきています。僕の学歴がいちばん悪いぐらいで、新卒もみんな優秀な大学から来ています。それから株主にはベネッセ取締役会長の福武総一郎さん、ソニー元会長の出井伸之さんをはじめ、そうそうたるメンバーがいる。

僕が言いたいのは、本当にすごいことを目指そうというビジョンがあれば、おカネも集まるし、人も集まるということです。何でこういう人たちが僕に協力してくれるかというと、みんなこう思っているんですよ。ソニーは人間で言えば80歳ぐらいの老人ですから、もうソニーが復活するのは無理だし、それを求めるのは酷です。だけどもう一度、ソニーみたいな会社をつくってくれという願いが彼らの中にある。

最後にみなさんに言いたいことは、僕の生き方はちょっと特殊かもしれないけれど、自分が好きでやりたいことを探したほうがいい。周りの反対があるかもしれないけれど、それがほかの人にできなくて自分だけにできることなら、それが最終的に社会のためにも自分のためにもなる。自分がワクワクして仕事をして、それが社会のためにもなれば、最高だと思います。

 (構成:長山清子、撮影:尾形文繁)

※ 続きはこちら:働く女性が増えれば、男はもっと冒険できる

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東洋経済オンライン編集部

ベテランから若手まで個性的な部員がそろう編集部。編集作業が中心だが、もちろん取材もこなします(画像はイメージです)

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