人工知能が絶対に勝てない人間の「知的暴走」 「適度に狂う機械」の設計はおそらく困難だ

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「知的暴走」は人間にしかできない(イラスト: しりあがり寿)
憂きこと、不思議なこと、困ったこと、とにかく質問のあるヤツは凱風館にいらっしゃ〜い。相談道の達人、館主のウチダ師範が、2017年も街場の疑問にお答えします。

 

――2016-17年の内田樹的「メン・オブ・ザ・イヤー」を教えてください。

農林水産業を支えるすべての人たちに

当記事は「GQ JAPAN」(コンデナスト・ジャパン)の提供記事です

個人的に賞をあげたいのは、周防大島で農業をやっている3人です。中村明珍くん、内田健太郎くん、宮田正樹さん。

周防大島は瀬戸内海で3番目に大きな島です。昔は7万以上も人口のある豊かな島でしたけれど、少子高齢化の波に洗われて、今は人口2万。ところがその島になぜかあちこちから若者たちが「Iターン」してきました。

僕が周防大島のことを知ったのは、朝日新聞の山口支局の人たちが凱風館に取材に来たときのことです。うちに来た2人の女性記者は前日に周防大島の「Iターン」の若者たちを取材していた。そのときに「明日、神戸の内田樹さんとこに行きます」と言ったら、お土産を託された。蜂蜜とジャムだったかな。

どうして見ず知らずの人がお土産をくれるのか訊いたら、どうも僕があちこちで「帰農キャンペーン」をしていることに共感してくれたらしい。「よろしくお伝えください」と伝言をお願いしたら、しばらくしてその中村くん、内田くんが2人で凱風館を訪ねてきてくれました。そして、どういう事情で農業を始めたのか、その話をしてくれて、一度周防大島に来てくださいと言われた。僕も若者たちの地方移住、農業回帰の現状が知りたくて、周防大島に行くことになった。

次ページグローバル資本主義の「終わり」
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事