考えが「浅い」と言われる人が知らない思考法 ひらめきが起きる人は「幅・深さ・角度」がある

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思考の質は「正しく疑う」ことで高まります。当たり前だと思っていることは本当なのかを1度は考えてみましょう。

アナロジーでアイデアを横展開する

ラテラルシンキングはもともと発想法ですから、画期的なアイデアを出す型としてとても有効です。中でも私がお気に入りなのは「アナロジー」です。アナロジーとは比喩やたとえという意味ですが、全然関係のない領域の事象を、自分の問題に当てはめてみるという考え方です。レストランの利益向上のための施策を、アナロジーを使って考えてみましょう。

参考事象として、「1000円の散髪屋が繁盛している」という事象から考えます。まずはこの事象をパターン認識します。「1000円という区切りのよい価格の成功したパターン」でもいいですし、「コアな価値に特化したパターン」などでもいいです。このパターン認識をレストランに当てはめてみると、たとえば「ワンコインランチ」「1000円ディナー」など低価格帯から高価格帯まで切りのよい価格とお得感のあるサービスのアイデアを出していきます。

ほかにも例をあげてみましょう。Uber(タクシーや一般人運転手と利用者を結びつける自動車配車サービス。一般人運転手にとって空き時間や資産の有効活用ができると評価されている)というサービスからは「空き資産の有効活用」というパターンが認識できますので、「レストランの空き時間である早朝やディナー前の時間を貸し会議室にする」などが出てくるでしょう。さらに「プロから直接習う教室がはやっている」という事象があれば、「一流シェフによる料理教室」「接客・マナー研修」などレストランが持つプロの技を教えるサービスなども考えられます。

私は今フリーで執筆・講師活動をするほか、会社をひとつ立ち上げていますが、そちらでもアナロジーでさまざまな事業の成功要因を考えて取り入れ、実行に移しています。新規事業は特にスピードが命ですから、他者の成功に学ぶことは日常ともいえます。たとえば集客の仕方などは、同業他者と同様ですと、後発組は難しいので、他業界での集客を参考に集客プラットフォームを作ったりしています。

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アナロジーで考えるということは、企画や問題解決が「なぜ成功したのか」を考えて、その成功要因を横展開するということです。私はビジネスの成功=多くの人を幸せにすることだと思っているので、成功要因を横展開するアナロジーという考え方はとても良いと思っています。

ただし、成功パターン認識をしっかりしないと、単なる猿真似やパクリになってしまいます。日頃から、事象を目にしたときに、「これは何がすばらしくて多くの人を幸せにしたのか」と考えながら見ていると、加速的に質の高いアイデアが出てくるようになるでしょう。

清水 久三子 アンド・クリエイト代表取締役社長・人材育成コンサルタント

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しみず くみこ / Kumiko Shimizu

アンド・クリエイト代表取締役社長・人材育成コンサルタント
大手アパレル企業を経て1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社。企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして新規事業戦略立案・展開プロジェクトをリード。「人が変わらなければ変革は成し遂げられない」との思いから専門領域を人材育成分野に移し人事・人材育成の戦略策定・制度設計・導入支援などのプロジェクトをリード。コンサルティングサービス&SI事業の人材開発部門リーダーとして5000人のコンサルタント・SEを対象とした人材ビジョン策定、育成プログラム企画・開発・展開を担いベストプラクティスとして多くのメディアに取り上げられた

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