鈴木大地氏「東京五輪、金メダル30個目指す」 スポーツ庁長官が見据える2020年とその先

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――高校球児には、控え選手であっても日本人の平均よりも体格がよく、身体能力が高い人も多そうです。たとえば英国ではボート競技で、陸上からの転向後、短期間でロンドン五輪で金メダルを獲得した選手がいます。鈴木長官から見て、コンバートする競技で、成功の可能性が大きそうだと思うものは?

やはりボートはその最たるものでしょうね。あとはやり投げ、おそらくラグビーもいいのでは。冬季の競技ではボブスレーがぱっと思い浮かびますね。ほかにもあると思います。日本でも野球をやっていたけれどゴルフに移ったりという実例がありますが、そこをもう少し考えていく必要がある。

鈴木大地(すずき・だいち)/1967年、千葉県習志野市生まれ。市立船橋高校から順天堂大学に進学し卒業。1988年ソウル五輪の男子100メートル背泳ぎで金メダル獲得。米・ハーバード大のゲストコーチなどで留学。2013年に日本水泳連盟会長、2015年10月にスポーツ庁長官(撮影:尾形文繁)

――サッカーも競技者数が多いですよね。野球と同じように、試合に出られない選手がたくさんいそうです。

ビジネスの世界で「ブルーオーシャン」戦略という言葉がありますよね。非常に競争の激しいところではなく、割とすいすいと泳げそうなところに身を置いてみる。非常に重要な発想だと思います。

さらに、女性アスリートの発掘と育成も重視しています。今、五輪でも日本代表の半分は女子です(リオ五輪は男子174人、女子164人)。

ただ、全体の競技者数がまだまだ少ないし、部活動レベルでは進学を機に辞めてしまうケースが多い。女性アスリートをサポートする仕組み作りも進めていきます。

日本の「お家芸」競技をもっと増やしたい

――五輪を目指せる、あるいは五輪で勝てるアスリートの発掘・育成に力を入れるのは、現状にどのような課題があるからでしょうか。

昨年のリオ五輪で日本は、史上最多となる41個のメダル(内訳は金12個、銀8個、銅21個)を獲得しました。

しかし、その一方でメダルを獲得した競技数はというと、2012年のロンドン五輪の13競技から10競技へと減少しました。リオ五輪の競技数は28競技でしたが、日本の場合、メダルを獲得するのが、「お家芸」とする体操、競泳、柔道、レスリングの4競技に集中してきています。

私は「御四家」と呼んでいますが、この4競技以外でもメダルを取れるようにしていきたい。なぜなら、東京五輪では過去最大のメダル数を獲得していこうと思っているからです。そのためにはほかの競技にもチャンスを広げたい。御四家どころか、「御五十家」くらいになればいちばんですが、日本の得意競技、種目を増やしていきたい。

もちろん、2020年でその試みが終わってしまうのでは困るし、さみしい。その先も、アスリートの発掘・育成を恒常的に行えるような仕組みをしっかりと作っていかなければなりません。

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