鈴木大地氏「東京五輪、金メダル30個目指す」 スポーツ庁長官が見据える2020年とその先

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――「見るスポーツ」から「プレーするスポーツ」に国民が親しむことも進めています。

実はいま、20~40代の仕事や育児真っただ中の世代で、スポーツをする人が少ないんです。1週間に1度以上は運動する人の率を示す「スポーツ実施率」が30%を切る水準になっている。忙しい人たちでも、スポーツをできる環境を整えなければならない。だから、プレミアムフライデーにも賛成です。土日だけでなくて、月曜から金曜までの間にも、何か体を動かす機会を作れるように整備したい。

これからは「スポーツで稼ぐ」意識が大事だ

――そのためには、何が必要なのでしょうか。

スポーツ界にももう少し、ビジネス感覚が出てくれば、「スポーツで稼ぐ」ことができるようになる。先日、大学野球を観戦したときも神宮球場の早慶戦のチケットが500円からだったんです。花形のカードですよ。関係者に「3000円でもお客さん来るでしょ?」と聞いたら、「来ますよ」と。

やはり、適正な価格というものもあるでしょうし、スポーツは対価を払って見に来るものだという空気も醸成しつつ、それに対して選手もお客さんに感謝の気持ちをもって最大限のパフォーマンスを発揮してほしい。そして稼いだおカネをスポーツの環境作りに投資していけば、スポーツ人口が増える。そのような好循環をつくることが重要です。

仕事の合間の時間に、ちょっとした器具を使ってトレーニングするのもいいでしょう。私も朝、早く起きられた日にはジョギングをして、できないときはスポーツ庁の階段を上って登庁します。何もしていないと、いざ運動しようとしたときに大変ですが、多少、普段から筋力を鍛えておくだけで、そこそこ走れますね。30分や1時間、体を動かさないといけないワケではありません。やれるときにやれるだけ、体を動かす。これがスポーツであり、運動だと思います。

――鈴木長官は金メダルを獲得するという偉業を成し遂げました。1つの物事をやり遂げて成功するためには強い意志が必要だと思いますが、うまくいかずにくじけてしまいそうなときは、どうやって乗り越えるのでしょうか。

いや、私も今、日々くじけていますよ。ただ、やはり、私がスポーツから学んだのは、何か目標や理想を掲げて、そこに向けて1つずつやっていくということです。そこに王道はないんですね。地道に取り組み、うまくいかなければ気持ちを切り替えることを繰り返す。それしかないと思います。

それから、1つの物事を突きつめていくと、しだいに孤独になっていきます。そのときに、違う分野の人と交流することで、新しい力を得ることも大切ですね。

福井 純 東洋経済 記者

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ふくい じゅん / Jun Fukui

「会社四季報オンライン」編集部長。『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報プロ500』『株式ウイークリー』『オール投資』編集長、「東洋経済オンライン」編集部長、証券部長を経て現職。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)、日本テクニカルアナリスト協会理事

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山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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