30年後を憂うより目の前の仕事に手を抜くな

2017年も思いがけずに世界が一変する

いろんな仕事で自分ができた(イラスト: しりあがり寿)
もうすぐ新年度が始まります。新社会人に向けて、ひとこと贈るとしたら、どんなことでしょうか?
大転換期の生存戦略を国民に伝え続けているウチダ先生の凱風時事問答。わからないことは、相談道の達人に訊いてみよう!

ご縁をたいせつに

当記事は「GQ JAPAN」(コンデナスト・ジャパン)の提供記事です

みなさんが今いる業界が、20年後、30年後にまだ存在するかどうか、まずはそれを考えることが最初だと思います。控えめに言っても、今存在する業種の半分はあと30年後にはもう存在しないでしょう。だから、今30歳の人で、60歳まで同じ会社で働ける人はほとんどいないということです。相当数の人は今就いている職業とは違う職業に就いている。ですから、汎用性の高い知識や技能を身につけていないと職業的には生き延びていけないということです。たまたま自分が今いる業界で求められている技能や知識に特化し、業界の現状に最適化していると、場合によっては、業界もろとも「歴史のゴミ箱」に投じられるということもありえます。

でも、どんな職業が消えて、何が残るのか、どんな新しい職業が生まれるのか、そんなことは誰にも予測できません。10年後にAppleやGoogleが存在しているかどうかなんて誰にもわからない。ですから、考えても仕方がない。僕からのアドバイスはとりあえず「ご縁をたいせつに」ということです。

僕自身がそうですが、これまでやってきた仕事は全部「頼まれ仕事」です。「これやってくれないかな?」と頼まれて、「ああ、いいよ」と応じるということを何十年か続けてきたら、いつの間にかこういう仕事をしていた。計画したわけじゃないんです。人に頼まれた仕事を一つ一つこなしているうちに、気がついたらこんなところに漂着していました。

英語では、「天職」のことをcallingとかvocationとか言います。どちらも「呼ぶ」という意味です。「誰か、この仕事してくれませんか?」という呼びかけがあったときに、周りを見渡して「え? 誰もやる人いないの?……じゃ、僕、やります」とよく考えずに手を挙げてしまった結果、人は天職に出会うものだということを、この言葉は教えてくれます。

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