現金は信用力が違う。電子マネーは脅威でない−−安斎隆・セブン銀行社長
2月にジャスダック上場を果たしましたが、2000年以降に新規参入した銀行の中でも、最も成功したのでは。
金融は5年程度でうまくいくほど簡単ではない。われわれはおカネの出し入れのインフラを担っており、他の金融機関とはまともに競合しない。金融機関全体の合理化や経費削減に役立っている。セブン‐イレブンは非常に便利な場所にある効率的なネットワーク。さらにセブン銀行のATMが入ったことで利便性が高まった。ATMを利用する消費者と金融機関、両方がわれわれのお客様だ。
これまでの業務展開で、最も重視してきたのはどのような点でしょうか。
銀行は信用が第一。ATMは預金を現金に換えるだけ。預金はお客様の財産だから「いつ来てもおカネが出る。間違いがない・速い・確実」これを確立しないとダメ。基本的なことを焦らずにしっかりやって結果になった。金融業の成り立ちには、信用創造の前に決済手段として現金化するという業務がある。これは重要な金融の機能だ。
金融機関がセブン銀行との提携を積極化する動きが見受けられます。
銀行免許を持ち、独自のネットワークを構築していることが最大の強み。だから、どこの金融機関でも戦略的にセブン銀行のネットワークを使える。365日24時間動く。セブンのATMはお客様がキャッシュカードを入れると、そのカードを発行している銀行の画面になる。利用の手数料も提携先の金融機関が決められるなど、選択をお任せした。証券会社や消費者金融とも提携し、全国で使えるのも、独自ネットワークを持っているから。ほかのコンビニのATMは従来の銀行のネットワークの延長なので、利用範囲が限定される。
全都道府県にATMを設置しましたが、今後の展開をどのように考えていますか。
セブン‐イレブンの店舗でも利用件数が多いところには、2台目のATMを設置していく。セブン‐イレブンのない13県では、イトーヨーカ堂の店舗のほかに、野村証券の店舗や空港などグループ外の場所にも提携して設置している。日興コーディアル証券の店舗にも設置を始めた。また、法人向けの入金サービスや小口のカードローンも始めたい。ATM展開のほかに、イトーヨーカ堂の店舗で提携金融機関の金融商品も扱っており、これも増やしたい。
電子マネーが拡大し、携帯電話を利用した銀行も出現しています。脅威になりませんか。
現金は信用力が違うし、なくならない。国家に対する信用があるかぎり、誰でも受け取り、どこでも通用する。そこが電子マネーと違う。
あんざい・たかし
1941年生まれ、福島県出身、63年東北大学法学部卒、日本銀行入行。92年経営管理局長、94年考査局長を経て理事、98年日本長期信用銀行頭取、01年アイワイバンク銀行(現セブン銀行)社長就任。
(撮影:松永卓也 アフロ)
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