賢い「引っ越し事業者」の見分け方、教えます クライシスは宅配便だけとは限らない
進学や就職、人事異動に伴う転勤など、春は引っ越しシーズンである。
引っ越しの市場規模を調査した公的資料はない。業界関係者などの見方を総合すると、年間の引っ越し市場は約6000億円と推定される。そのうち3分の1、約2000億円が、3月20日から4月10日の1カ月弱に集中するのだ。
2015年の都道府県内および都道府県間移動者数は約504万人だが、うち3月と4月の移動者が全体の約33%を占めている(総務省統計局調べ)。つまり、春の1カ月間に、年間引っ越しの3分の1が集中していることがわかる。今年の場合、3月18日の土曜日から4月9日の日曜日に集中し、とりわけ混雑が予想されるのは3月25日から4月2日だ。この期間は必然的にトラブルも多くなる。
「金額」「時間」「家具の破損」……
トラブルの件数を集計した公的な資料は見当たらない。だが、たとえば作業中にコップの1つにヒビが入ったといったものも含めれば、「10件中の3件は何らかのトラブルがある」(業界関係者)という。
輸送相談窓口への問い合わせが多いのは、連絡が遅いといった対応に関するもの。これは引っ越し事業者と利用者のいずれか、あるいは双方に原因がある。しかし、大きなトラブルになるのは、「見積金額と実際の請求金額の差」「作業の開始時間」「見積もりどおりに作業が遂行できない」「作業人員が見積もりと違う」「家具の破損」などである。
トラブルになりやすいものの1つが、通称”フリー便”だ。これは日にちだけを決めて時間を決めないもので、事業者としては何件かの引っ越しをこなしてから、夜に作業をしたりするために料金が安い。もっとも、利用者からすると夜といっても時間的な常識がある、というのが言い分である。少し高くなっても、時間を決めて契約するのが、賢明だろう。
またトラブルの発生率が高いのは”積み合わせ”。これは何件かの引っ越し荷物を1台のトラックに積み合わせて運ぶもので、荷物を間違えたりする可能性が高まる。
そこでトラブルを防ぐために注意すべきことや、ここでは事業者の見分け方を説明しよう。
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