金融街で働く人は「嫌なヤツ」ばかりなのか 200人以上取材した記者が見た実態

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――今後も金融取材を続けるのですか。

ここで終わらせるのはもったいないほど興味深い業界だ。追えば追うほど面白いが、同時にやるせない気持ちにもなる。僕らが乗っているバスは、次の金融危機という底なし地獄に向かっているんだが、それに対して今はなすすべがない状態だ。

しかし、それでも今後、欧州連合(EU)がより金融業界に対する規制を強め、業界をより「安全な場所」にできるか注目している。国の数が多ければ、より有効な規制を行うことができる。そうなれば、金融機関より強くなれる可能性がある。

次の金融危機はすでに始まっているかもしれない

――底なし地獄はすぐそこに来ている……。

2008年の金融危機のときも、兆候に気が付いていた人はわずかだった。システム的な欠陥がある業界というのは、つねにカオス状態にあるため、想定外のことが起こりやすい。そう考えると、次の危機はすでに始まっているのかもしれない。

今や多くの金融機関は、相互にあまりにも多くのつながりを持ちすぎている。それゆえに、どこかが倒れるとドミノ倒しが起こる。それによって、国が金融支援を行う事態が生じる。そうなると、それをまかなうために、国はもっとおカネを刷ったり、増やしたりしなければならない。しかし、それもできなくなるときがいつか来る。

――いつの間にこんなことになってしまったんでしょう。

最大の原因はグローバル化だろう。金融機関がわれ先にと競って他国の金融機関を買収する一方で、大きくなっていく金融機関を規制するルールはできなかったどころか、逆に規制緩和が進んでしまった。さらにテクノロジーの進化によって、それぞれが一層複雑につながっている業界になってしまった。そこに短期的な利益しか考えないような人が集まってきたことによって、業界はより脆弱かつ複雑な状態になっている。

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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