金融街で働く人は「嫌なヤツ」ばかりなのか 200人以上取材した記者が見た実態

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――金融街の人々は、幸せを感じているのでしょうか。

いや……そうは思わない。確かにハッピーな瞬間はあるかもしれないが、ほとんどの時間は幸せを感じていないのではないか。実際、多くの人がアルコールや薬などに頼っている。そもそも、何かあったらすぐにクビになるような企業で働いていれば、何に対しても愛着心を持ちにくくなる。取材する前は、欧米の金融機関は欲でできていると考えていたが、今は恐怖のカルチャーに支配されていると感じる。

――2008年の金融危機から、金融街に勤めている人たちが学んだことは。

何があっても何とかなるということ。

一国政府にグローバルな金融機関は管理できない

――では、私たちは?

何も学んでいない。僕たちは巨大な金融機関を救って、彼らが何もなかったようにビジネスを続けることを許すという大きなミスを犯した。すでに、2008年と同じようなことが欧州では起きている。ギリシャの金融機関が破綻寸前に追い込まれたとき、われわれは金融支援を行っている。米国ではトランプ政権が誕生して、金融規制緩和を行おうとしている。今後、事態はより悪化するのではないか。

とにかく、僕たちは金融機関が破綻しそうになっても、金融支援をし続ける。それが本当にできなくなるまで。こうした悪循環を解消するには、現在の在り方を改善するよりほかない。

――具体的にはどうしたら。

非常にシンプルな話で、金融機関を今より小さく、単純な形態にすることだ。だが、多くの政治家は最終的に金融機関の世話になっているから、金融機関のテコ入れには関心がない。

しかし、僕らが住んでいるのは民主主義社会だ。この本を書くことによって、金融業界の実態や問題をよりわかりやすくしようと思った。それが問題を解決する第一歩だ。金融機関を変えるのには時間がかかるだろうが、男女同権問題も200年かけてようやくここまで来た。金融機関の問題はそれより早く解決できるだろう。

――各国の金融規制によってグローバルな金融機関を管理することはムリだと論じています。

グローバルな金融機関を規制するには、グローバルな政府が必要だということだが、現実的に考えて、そんな政府が誕生するわけない。つまり、本当はグローバルな金融機関なんてありえちゃいけないというわけだ。だからといって、すべての金融機関が自国のみでビジネスを行うというのも非現実的だろう。なぜなら、企業の多くは自分がビジネスをやっている国では同じ金融機関を使いたいからだ。つまり、今や企業が政府より力を持っている。それがグローバル化の問題だ。

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