「ムダな洋服」をつい買ってしまう人の盲点 高額なうえに場所も取る、買い物の鬼門

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ちなみに、筆者は『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』という本を出しているが、えてしてセット買いは無駄な支出になる、1足でいいなら不要な2足はなるべく買うなという意味だ。

3という数字は人を迷わせやすい。2つは簡単に選べても、3つ目が無理やりのセレクトになりがちだ。そうして無駄な1足を買うくらいなら、本当に気に入ったデザインを3足のうち2足、もしくは3足全部そろえて買うほうが合理的だろう。

50%オフの魔術に人はかくも弱い

われわれを惑わせる価格のマジックとしてよくあるのが、次の例だ。

大幅値下げと書かれたPOPに吸い寄せられ、そこにあったスーツの値札を何気なく見たとする。5万円という値札に「50%オフ」というシールが貼られていたのを見たとたん、「おお、半額じゃないか、これは安い!」と思ってしまう。5万円のスーツが2万5000円というのは確かに大幅値引きでオトクだ。しかし、隣に定価で2万円のスーツが並んでいたとしたら、どうだろう。こっちのほうが5000円も安く買えるのだが、やはり半額スーツのほうに手が出るのではないだろうか。この心理は「アンカリング効果」といわれる。2万5000円という価格が安いかどうかという判断ではなく、最初の5万円がアンカー(錨)になって、そこからの下げ幅が大きいことで「安い!」と感じさせられる錯覚なのだ。

普段は節約して1万9800円のスーツを選んでいる人が、「安い!」とばかりに2万5000円のスーツをためらいなく購入する。わざわざセールに行ったのに、なぜか普段よりも高いものを買ってしまう。人間とは魔訶不思議な行動をしてしまうものだ。これを防ぐには、やはり、50%オフという数字ではなく、売価が2万5000円のスーツをはたして買うべきなのか、という見方をすればいい。それでも迷うなら、いったん店を出てコーヒーでも飲みに行こう。カフェで300円のコーヒーを飲むか、いやコンビニなら100円ですむな、と考えているうちに、2万5000円という金額の重みがずしんと来るのではないかと思う。

またこの時期は、「新生活応援セール」「冬物大処分」といったキャッチとともに、クレジットカードのポイントアップキャンペーンが行われる。つい飛びつきそうになるが、ここでも冷静に計算をしたい。

1000円購入して1ポイントが付くカードなら、1万円で10ポイントとなる。もし5倍となれば50ポイント。50ポイントというとすごそうだが、1ポイント1円とすると50円。電子マネーに交換したとして、3倍で移行できてやっと150円だ(ただし電子マネーへの交換には一定のポイント数が必要な場合が多い)。電車賃を使ってまで手に入れたいトクかというと疑問だろう。なお、割引クーポンにも要注意。5000円以上の買い物につき使用できる、などと条件がある場合がほとんどだからだ。すでに手にしてしまった値引きの権利(=クーポン)を行使しないともったいないがために、わざわざ必要のない5000円を払おうとしていないか、立ち止まって考えてみよう。

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