再び敵基地攻撃能力の保有が議論の対象に

北朝鮮のミサイル進展で

自民党内の議論を主導する小野寺五典・元防衛相は「相手の領土からミサイルが飛んできて日本を攻撃するというのは、かつては想定していなかった」と指摘する。「しかし技術が進み、北朝鮮のような何をするか想定できない国が、その技術を持ったとすれば、1発撃たれた後に2発目、3発目を撃たせないための能力も必要だ」と話す。

「基礎研究は終わっている」

日本政府は改良した迎撃ミサイルの配備を急ぐとともに、陸上配備型イージスなど新型迎撃ミサイルの導入の検討を進めている。その一方で、敵基地攻撃能力の研究も水面下で続けてきた。政府関係者の1人は「基礎研究は終わっている」と話す。

比較的容易なのは、沖縄県与那国島に島しょ防衛用の地対地ミサイルを配備すること。北朝鮮も射程に入れることが可能という。

米ロッキード・マーチン<LMT.N>製の射程1000キロの空対地ステルスミサイルや、もう少し飛距離が短いノルウェーのコングスベルグ社が開発したジョイント・ストライク・ミサイルをF35に積めば、すぐに能力が整う。

自民党は今から4年前にも敵基地攻撃能力の保有を政府に提言しているが、今ほど北朝鮮の弾道ミサイルの能力が高まっておらず、政府が正式に採用することはなかった。アジアの軍事バランスが崩れることなどを懸念した米国が、難色を示したことも影響した。

自民党は今国会の会期末までに政府への提言をまとめる。2019年度からの次期中期防衛力整備計画に反映させたい考えだが「そこまで待って良いのか。可能なものは18年度予算から取り組むべき」(自民党関係者)との意見も出ている。

一方で、「こちらが攻撃をした後に、相手がどういう反応をしてくるのか。基地を1つたたいたら、どんどん撃ち返される恐れもある。リスクについても検討する必要がある」(別の自民党関係者)と、慎重な議論を求める声もある。

(久保信博、ティム・ケリー 編集:田巻一彦)

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