テレワークを導入するうえで最も必要不可欠なのは、社外への情報漏洩を防ぎ、セキュアな環境を実現することです。同じ時間、同じ場所で働くスタイルがなじんでいる職場では、業務上のノウハウや情報を共有する方法、マネジメントの仕方などについて、やり方を見直さざるを得なくもなるでしょう。普段職場でさり気なくかわしていた挨拶やスモールトークも、意図的にコミュニケーションを取ろうとしない限り難しくなります。その結果、孤立してしまう社員が出てくる恐れもあります。
さらに、職務内容を明確化したり、評価基準を見直すうえで直面する課題もあります。こうした問題を解決するために、どこまで投資をし、また実効性のある対策を打つべきかを考えて、二の足を踏んでいる企業が多いのが実情といえます。
ただ、別の角度から考えてみると、テレワークを本格的に導入すれば、オフィススペースにかかるコストをはじめ、社員の通勤手当やそれに伴う社会保険料の削減なども考えられます。
サテライトオフィスを設置する場合でも、実人数分のデスクを用意する必要はなく、フリーアドレス制のレイアウトにより、効率的に省スペース化を図ることができます。中長期的に考えると、テレワークによるコスト削減は、IT環境整備の投資額を上回ることが期待できます。
「営業職」にはテレワークが向いている?
さらに、業種や職種によって向き・不向きがあることもうかがえます。
企業におけるテレワーク導入状況を業種別にみると、情報通信業で「導入している」企業が20.4%と高く、「検討している・関心がある」企業を加えると53%と過半数を超えています。
一方、運輸業や医療・福祉においては、「導入している」企業と「検討している・関心がある」企業を合わせても「適した職種がない」ことから1割に届いていません。
職種別では、モバイルワークが広がりを見せていることから「営業」の導入率が5割を超えて最も高く、次いで「研究・開発・設計」(32.7%)、「システム開発」(31.5%)、「システム運用」(26.2%)、「顧客サポート」(25.4%)、「企画・調査」(23.8%)の順となっています(総務省「地方創生と企業におけるICT利活用に関する調査研究」2015年)。
テレワークはICTを活用した働き方であることを考えると、働く人のITリテラシーがあり、仕事における計画性や自律性が高い業種や職種に就いている場合に適しているといえるでしょう。
現状では、決して普及しているとは言えないテレワーク。ただ、これに適した業種や職種であれば、活用しない手はありません。
政府としても、新しい働き方としてテレワークの導入に積極的です。2014年時点では、週1日以上終日在宅で働く雇用型の在宅テレワーカー数が3.9%だったところ、2020年までには10%以上にするというKPI(重要業績指標)を設定しています。
導入する企業が徐々に増え、経験値や認知度が高まることで、いずれこの柔軟な働き方が広がっていくことを期待しています。
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