パン好きが殺到!横浜「パンのフェス」の凄み 史上空前のブームで増えるご当地パン祭り

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今年で2回目となるイベントを主催するのは、チケット販売大手のぴあと、出版取次大手の日本出版販売(日販)で構成するパンのフェス実行委員会。日販は、パンに関する総合的な知識を持つ資格、パンシェルジュ検定を運営する。横浜市のパン屋を中心に、商品だけを提供した他地域の店も入れて、今年は約70に上るパン屋および団体がパンを販売する。

パン祭りの中では比較的後続だが、「パンのフェス」の集客力は驚異的だ。昨年フェスの初日となった金曜日(土日を含む3日間開催)はあいにくの雨模様だったが、赤レンガ倉庫には開場2時間前から行列ができたほど。地元横浜市から出店したパン屋を中心に商品を補充しても追いつかず、最終的には50店すべてのパンが終了時間前に売り切れた。

翌日から初日の倍以上のパンをそろえたが、それでもパンは完売。当初3日間で5万人の来場を見込んでいたが、フタを開けてみれば約12万人が押し寄せたのである。

これには、主催者、出店者とも驚嘆。「ほとんどのパン屋が、過去最高の売り上げを記録した。フェスが終わったとたん、出店者から『来年もよろしく』と声をかけられたほど」と、パンのフェス実行委員を務めるぴあの幅野裕貴氏は明かす。目立ったのは、30~40代の女性だったが、カップルや家族連れも多く訪れた。誰もが列に並びながら、パン屋の情報をスマホで調べる姿が見受けられ、「パンというコンテンツの強さを感じた」(幅野氏)という。

「パンのフェス」がパン好きを魅了したワケ

今年はサンリオと提携し、シナモロールの“わごん”も登場する

昨年は一時、約3000人が大桟橋まで行列を作るほど混雑したが、今年はブース面積を倍増し、大量流入に備える。今年はさらに、地元横浜市に本社を置く協賛企業のブースを設けるほか、昨年に引き続きパンにまつわる雑貨なども販売。また、パン情報のムック本も発売する。ぴあは近年、イベントと出版を連動させ、相乗効果を狙う試みを行っているが、パンもコンテンツとして立派に成り立っているというわけだ。

今年も、三軒茶屋の人気店「シニフィアン・シニフィエ」のオリジナルパンが登場する

「パンのフェス」がパン好きに支持されるのは、なぜだろうか。ひとつは「日本最大級の“パンのフェス”」というキャッチコピーに代表される、事前告知の力。出店・出品者も、「ポンパドウル」など横浜市の人気店を中心に、東京・富ヶ谷の「ルヴァン」、北海道の「ますやパン」などパン好きの関心が高い店を全国から集めている。また、東京・三軒茶屋の超人気店「シニフィアン・シニフィエ」が要予約の限定オリジナルパンを販売するなど、パン好きの心をくすぐる内容を盛り込んで期待させた。

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