テレビ局の「ネット音痴」意外にも深刻な実態 「逃げ恥」大ヒットを大多数が学べていない

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つまり、ネット上では「やられっ放しでほとんどフォローできない」というのがテレビ業界の深刻な課題。この状況を変えるためには、個人とネットメディアそれぞれに、ネガティブなイメージを軽減させる、ポジティブな情報を積極的に提示することが求められているのです。

普段から小刻みなポジティブ情報を提供するだけでなく、ネガティブな声が上がりそうなところは先回りしてフォローの情報を添え、それでも発生してしまったら鮮度の高い情報で上書きするなどの危機管理が必要でしょう。

「クレームは最大のビジネスチャンス」という考え方があるように、テレビ業界も「ネガティブキャンペーンから、手のひら返しの称賛」を本気で狙っていかなければいけないのです。

ネットコンテンツに奪われるテレビ画面

「やられっ放しでフォローできていない」のは、テレビ画面そのものにも当てはまります。昨年あたりからAmazon Fire TV、Apple TV、グーグル「クロームキャスト」の認知・販売が進むなど、「テレビ画面がネットコンテンツを映すスクリーン」として奪われはじめているのは間違いないでしょう。

さらに今年からJリーグの中継がスカパー!からDAZNになり、全国各地のサッカーファンを中心に、前述したデバイスの普及が進むのは確実。これによって、Netflix、Hulu、dTV、アマゾン「プライム・ビデオ」、U-NEXTなどの動画配信サービスを新規契約する人が増えるほか、ユーチューブやニコニコ動画、あるいはスマホで撮影した動画をテレビ画面で見る習慣が定着するかもしれません。

これまで民放各局は、テレビ画面を奪い合うライバルといえるCS放送のCMを流してきました。そして昨年は、Amazon Fire TVのCMをリピート放送。しかし、ネットコンテンツは、CSの比ではないほどラインナップが豊富なだけに、危機感を抱いていないのか、気になるところです。テレビ業界の人々は、「テレビ画面がネットコンテンツに奪われていく」状況をどう見ているのでしょうか。

実際に尋ねてみると、あるバラエティ番組を手掛けるプロデューサーは、「『テレビ番組のほうが面白い』という自信はあるけど、『見てもらえるか』は自信がない」。一方、ドラマを手掛けるプロデューサーは、「正直言うと、僕らのレベルでは『見て見ないフリをするしかない』という状況。現場はいいものを作るしかない」と話していました。

その他、情報番組のディレクター、制作会社のスタッフ、アナウンサー、AD、営業、広報など、さまざまな立場の人に話を聞きましたが、首をかしげるばかりで、局内は「知らなかった」「流れに身を任せるだけ」というムード一色。「少なくとも現場レベルでは何も対策が施されていない」という現実が浮かび上がったのです。

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