テレビ局の「ネット音痴」意外にも深刻な実態

「逃げ恥」大ヒットを大多数が学べていない

しかし、依然としてテレビ業界のコンテンツ制作力は高く、ドラマに限らず「見てさえもらえれば評価されるだろう」という番組は少なくありません。「テレビ画面の中で押しつける」のではなく、「ネットでレコメンドしてもらう」形に切り替えていけるか。PRのスタンダードを変えられなければ、現在の苦境は続くでしょう。

テレビ局はネガキャンにやられっ放し

PR以上に、テレビ業界のネット対応が遅れているのは、ネットユーザーのネガティブキャンペーン対策。ネットのヘビーユーザーを中心にした「テレビはオワコン」「つまらなくなった」という漠然としたイメージや、個別の番組に対するバッシングを放置しているのです。

たとえば、新番組の内容が発表されると、企画やキャストに関する否定的なコメントが埋め尽くされ、放送前の段階からマイナスイメージが定着。“第ゼロ印象”のマイナスをフォローできないため、当然ながら「1度も放送を見てもらえない」、あるいは「さも見たようなフリをして『3分で見るのをやめた』などと酷評される」惨状を招いています。

特に深刻なのが、フジテレビの番組に対するネガティブキャンペーン。今期の月9ドラマ「突然ですが、明日結婚します」は、放送前から「主演俳優に逃げられた」「このキャストじゃ無理」「『逃げ恥』のパクリ」などの厳しい言葉がズラリ。ほとんどフォローができないまま放送がスタートし、「史上最低視聴率」というニュースが繰り返しYahoo!ニュースのトップを飾り、それを受けたネットメディアが「ここが悪い」などの酷評記事で後追いする悪循環を止められずにいます。

テレビ業界が真っ先にすべきは、ネガティブキャンペーンの源になりがちな視聴率に対するフォロー。前述したように、視聴環境の変化で視聴率は下がって当然の時代なのですが、それに代わる指標を提示できていないため、個人にもネットメディアにも「また下がった」「つまらないから当然」などとたたかれまくっているのです。

昨秋から新たな指標として、タイムシフト(録画)視聴率の測定をはじめましたが、発表まで2週間超のタイムラグがあるほか、スポンサーの手前「堂々と録画視聴率はこんなにいいんですよ」と発表できない事情を引きずるなど、世間の人々に対するフォローとしては不十分。その他、民間のツイッター指標や視聴満足度、見逃し配信や関連動画の再生回数など、「こんなに見られています」というデータは存在し、どれもフォロー要素になりうるのに活用できていないのです。

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