テレビ局の「ネット音痴」意外にも深刻な実態 「逃げ恥」大ヒットを大多数が学べていない

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テレビマンたちにしてみれば、「まだ視聴率の扱いや、ビジネスモデルの再構築という最大の問題が解決していない以上、それどころではない」のかもしれません。ただ、もともとテレビ番組は“表現の規制”と“スポンサーへの配慮”というハンディを抱えているだけに、ネットコンテンツを明確に凌駕する高品質番組を作り続ける必要があるのです。

「映像コンテンツの中で、品質面の最上位に位置する」こと、「それを人々の共通認識として浸透させる」こと。制作、PRの両面でそれができれば、テレビの未来は明るいと言っていい気がします。

ネットに近づき、熱烈なアプローチを

ここまで挙げてきた「ネットPRのつたなさ」「ネガティブキャンペーンへの無策」「ネットコンテンツにテレビ画面が奪われる状態を放置」が、テレビ業界がネットオンチである3つの理由です。テレビ業界は、長らくコンテンツビジネスのトップに君臨してきただけに、対応が遅れてしまうのはやむをえないところもあるでしょう。しかし、これまで培ってきた信頼関係やノウハウが揺らいでいる以上、ネットオンチのままではいられないはずです。

これまでのように、テレビを最優先している人々に向けたPRや危機管理だけでは明らかに不十分であり、重要なのはネットを最優先させている人々に向けた発信を全力で行っていくこと。各番組にネット専属のプロデューサーを立ててチームを作るなど、「自らネットに近づいて相乗効果を持ちかけるなど、熱烈なアプローチを送る」ような前向きな姿勢が必要でしょう。

この点では、何かと比較されがちな出版業界のほうが、苦しみながらも先行しているのは間違いありません。テレビ業界も早期の対策を取らなければ、他業界の人々から「いつまで過去の栄光にしがみついて大名商売をしているのか」と冷ややかな目で見られかねない段階に入っているのです。

ネットオンチであることを自覚し、オンラインでのPRや危機管理に注力すること。その際、「視聴者やネット業界の人々に“上から”ではなく“横から”アプローチできるかどうか」が問われているのではないでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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