「作品作りにおいて、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアなどでは国の助成金が多い。だから映画作りにおいては、必ずしも商業的なヒットを期待されてないというか、マストにはならない。もちろん映画がヒットしてくれたらうれしいけどね。たとえば僕の作品だって、フランスやイタリア、時にドイツからの支援のおかげで制作ができている。そうするとより自由に映画を作ることができる。アメリカのようにそういった補助が少ない国では、出資者の協力を仰がないといけない状態だから、結果的に映画は『産業』となってしまう。つまりその映画が売れなければそれまで。商業的な成功を得られないと、もう映画を作ることができない」
欧州では国が助成金を出してもクチを出すことはない
公的な助成金を受けることで、商業的な制約から解放される。しかし、国から「税金が使われている以上、こういった作品を作ってほしい」といった、違った制約を受けるということはないのだろうか。
「それはない。僕も、僕の仲間も完全な自由を与えられている。もちろんそういった機関にとっての文化的な意義に合う作品にしてほしいという思いはあるかもしれないが、かといって、こうしなきゃいけないといった圧力がかかったということはない。特に今回は、国にとってもデリケートな難民の問題を扱っているし、実際に海軍の船に乗って撮影もした。国にとっては耳の痛い問題ではあったし、撮影に関しての許可を得るのは大変だったが、実際の撮影した内容を見せろとか、確認させろと言われたことは1度もなかったよ」
2月27日(日本時間)に発表予定の米国のアカデミー賞では、長編ドキュメンタリー賞にもノミネートされている。ドキュメンタリーとフィクションとの境界線を壊しつづけるロージ監督の作品が、ハリウッドの面々をも動かすことができるのか、その動向が注目される。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら