糸井重里社長「ほぼ日」の実態、ほぼ明らかに 3月16日に上場、「個人商店」から脱却なるか

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ほぼ日は今回のジャスダック上場で5億円強を調達する(撮影:今井康一)

調達資金5億円使い、「次の柱」を育成

ただ、同社が東証に提出した「新規上場申請のための有価証券報告書」の「事業等のリスク」欄を見ると、「特定商品への依存度に関するリスク」として、ほぼ日手帳への依存度の高さに言及。法人向けではなく個人向け中心の「ほぼ日手帳」の市場は比較的底堅いとみられるが、中長期には、それに次ぐ柱となりうる自社企画・開発商品の育成は待ったなしともいえる。

すでに同社は、腹巻きや「水沢ダウン」などのアパレル、「カレーの恩返し」などの食品、各種の書籍といった分野でそれなりのヒット商品を生み出し、手帳以外の「ほぼ日商品」の売り上げ構成比は全体の22%まで育っている。加えて、今回の株式上場に伴う調達資金(手取りで5億円強)も投じて、昨年6月からリリースしている犬や猫の写真SNSアプリ「ドコノコ」や、新コンセプトの展示イベント「生活のたのしみ展」、スマホアプリと連動する新商品「ほぼ日アースボール」などの運営や企画・開発を進めていく予定だ。

「今、売り上げ貢献という意味では、僕自身の存在はパーセンテージとして、とても小さくなっている。ドコノコなど3つの新事業についても、タネの段階では一生懸命やったけれど、そこから育てるのは僕の人脈なんかに頼らなくても、ほぼ日の信頼感だけでだいぶできるようになっている」(糸井氏)。

ほぼ日は今回の株式新規上場を機に、これまで経営依存度が高かった「手帳」「糸井重里」から次を模索するステージに突入する。投資家のみならず、ほぼ日の事業を支えてきた読者や顧客の評価をいかに勝ち取るか。それが、糸井氏にとって、ほぼ日社長としての仕上げの仕事になるかもしれない。

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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