日本の笑いのレベルを護るために必要な事
さて、この太った、それはそれは太いコラムニストはエーゲ海のかなたからはるばる、何を思って笑いのコラムを書いたのだろう。これは別にふざけているわけではなく、日本のお笑い業界の問題は日本企業や日本社会の問題点と本質的に共通している点が多いからこそ、敢えて書いてみたのだ。
芸能界は先輩・後輩の関係が厳しく、重鎮化した芸人に“おまえは面白くない、クビだ”と言いづらい。古株の芸人がお笑い業界の発展を阻害しているのは、役立たずの重鎮議員や会社役員が未だに“エライサン”としてのさばり若手に活躍の道が無い政治・経済界に共通している。
笑いとは本来すばらしく、カネもかけずに大笑いしてエンドルフィンやドーパミンを分泌させ、幸福度を瞬間的に上昇させ、時に教訓を与えつつ人生に前向きな態度にしてくれる力がある。笑った人の免疫力も高まるので医療費削減にも影響があるし、大笑いした後には不幸な気持ちも吹き飛ぶので、自殺率も減るため、お笑い振興策は経済政策として、真面目に議論されてもいいテーマだろう(芸人から議員になった人は強みを生かしてこの政策方面で付加価値を出されてはいかがか)。
私は日本ほどさらなる笑いが必要とされている国は少ないと思う。GDL(グロス・ドメスティック・ラフター=国民総爆笑)という概念がグローバルエリートによって提唱されて久しいが、GDLの長期成長率を高めるためにも、今あるお笑い芸人のネタを機械的に消費するのではなく、将来の国民総爆笑を高めるための成長戦略が必要である。
最後に紹介するが、私の韓国の友人で日本語の非常にうまい人がいる。彼は米系投資銀行の香港支店で働いているのだが、日本に留学したこともなく、日本語を学校で学んだわけでもなく、関西弁が非常に達者なのだ。そのわけをきくと、Youtubeでダウンタウンの漫才や番組が韓国語字幕付きで紹介されていて、その別格の面白さに衝撃を受けて、ダウンタウンの漫才で日本語を必死に勉強して日本が大好きになったのだという。ダウンタウンの一時の別格の笑いは国内にとどまらず、隣国の視聴者にも衝撃を与え、文化交流を促進していたという一例である。日本の才能あふれる真のお笑い芸人は、日本にとどまらず世界に出ていく可能性も秘めているのだ。
日本のGDLを高めるのみならず、世界のGDLを高める日本初の芸人を目指す、志の高いグローバル・漫才師の誕生と、笑いの神・ダウンタウンの復活を期待したい。
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