続・ダウンタウンはなぜ面白くなくなったか 日本はGDL（国民総爆笑）を高めよ

上質の笑いは、上質のスーツと同じ

上質の笑いというのは、あなたの体の形に合わせてテーラーメードされた上質のスーツや靴と同じで貴方の個別ニーズや文脈にフィットしたものである。笑いで“内輪ネタ”が面白いのはその文脈を共有しているから背景事情を説明することなくひとつの単語で多くのことを意味することができ、ひとつの言語が意味するコノテーションが多いため豊かで効率的なコミュニケーションが実現しているからである。

また優れたスーツが貴方の気分を変えてオーラを高めてくれるのと同様、上質の笑いは社会への風刺やウィット、教訓が詰まっていて、人生をよりよく生きる助けをしてくれることもあるのだ。

本コラムの冒頭であたかも日本を代表する重鎮芸人が面白くなくなったかのうような書き方をしているが、私は彼らは単に大勢を笑わすことができなくなったからではなく、単に大勢のテレビの前の視聴者を笑わせることに飽きて、意義や情熱を見いだせなくなってしまったからではないか、とも思っている。もしくは視聴者のレベルが低いので上質なユーモアなど要らない、とタカをくくっているのではなかろうか。

笑いの才能あふれる重鎮の皆様には、日本のお笑いのレベルを高めるべく頑張ってほしい。レベルの低い視聴者に合わせるのではなく、上質の笑いで視聴者の底上げを野心的に目指すべきである。

ダウンタウンへの、グローバルエリートからの提言

ダウンタウンのような日本の芸能界の大御所たちは今でも、内輪の中では神業的に面白い冗談を炸裂させておられることだろう。ないし、取り巻きやコアファンだけが笑ってくれている裸の王様状態に気づき、世間から面白くなくなったと思われていることに屈辱を感じれば、お笑いが彼らにとって再度情熱を注ぐ対象になるかもしれない。それを信じて、ギリシャはエーゲ海のかなたから、はるばるグローバル・エリートが、（ダウンタウン信者に炎上されることを恐れつつも）ダウンタウンに再起を促すべく率直に進言させていただこう。

ダウンタウンよ、今のあなたたちは全然笑えない。“視聴者のレベルが低い”“笑わせることに興味が無くなった”などと逃げずに、プロとしてＣＭや番組スポンサーのために視聴率を上げ、かつ視聴者を爆笑させるような笑いを全力で提供してほしい。そしてそれができないか、大衆を笑わせることにもう興味がないのならば、後進と日本の笑い業界のためにも、ずるずると冠番組がなくなる前に引退すべきである。

テレビに一番出ているあなた達のレベルが日本のテレビのレベル及び視聴者のレベルを形成していくのだから、才能豊かなあなたたちには面白く、賢くさらに発展していく義務があるのだ。