日銀がうろたえた長期金利の不気味な急上昇 トランプは日本国債にとどめを刺すのか

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日本国債の金利をめぐる懸念は、トランプ政権だけではない。詳細は省くが、アベノミクスによる異次元の量的緩和によって日銀は日本国債を買い続けてきたが、2月8日に発表された日銀の統計によると、1月末時点の国債発行残高は約894兆円、日銀の国債保有高は358兆円で、日銀国債保有比率が初めて4割を超す40.05%となった。

異次元緩和のスタート時に比べて、この4年で30%近く増えたことになる。量的緩和の内容をイールドカーブ・コントロール中心にしたとはいえ、年間80兆円の大量購入は変化していない。

いまや実質的な「金融ファイナンス」状態といわれ、国債の大半を日銀が引き受けている状況も大きな問題だ。トランプ大統領が名指しで日銀の量的緩和政策を批判してくる可能性も排除できない。

コントロールできなくなったときに何が起こるのか

問題は、実際に金利が上昇し日銀がコントロールできなくなったときだ。いったい何が起こるのか――。日本の国債市場は、長い間「完全にコントロールされている状態」が続いてきた。「いずれ管理できない日がやってくる」とは思いたくないが、可能性はゼロではない。

日本政府の財政再建への取り組みは進んでいないが、日本にとって降って湧いたようなトランプ政権の誕生は、いずれ新興国の財政破綻を招き、世界の金融危機を招く可能性もある。そんな状況の中で、日本の長期金利急騰は今後大きなリスクになるかもしれない。

日本国債の金利急騰は、日銀の信用を失墜させ円安を招く。ドッド=フランク法の見直しで、自由に取引ができるようになった投資銀行などのリスクマネーが、潤沢な資金を背景にレバレッジを効かせて、日本国債の暴落を仕掛けてくる可能性も否定できない。

とりわけ、米国の長期金利が3%を超えたとき、世界のマネーの流れが一変するといわれる。3%を超えたとき、何が起こるのか。まだ、誰にもわかってはいない。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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