偏差値重視の親が知らない「食える力」の教育 2020年、教育界の「関ヶ原の戦い」が勃発する
しかし、結果として学力低下の批判が巻き起こり、文科省は脱ゆとり路線への転向。偏差値重視の「学力ブーム」が勃興。その波は大学受験へと向かった。
ベネッセ教育総合研究所の調査では、2000年代以降、「できるだけいい大学に入れるよう、成績を上げたい」と考える高校生の割合は上昇。一流企業に入ったり、お金持ちになったりするために「勉強が役立つ」と考える高校生の割合も、過去10年間で増えている。
「2000年代後半にはリーマンショックで非正規雇用の問題もメディアに取り上げられ、少しでも安定した会社に入るため、いい大学に進むべきという意識が学校側でも生徒側でも高まった」(ベネッセ教育総合研究所の吉本真代研究員)。
必要な「食える力」
2020年度の教育改革は、大学入試を変えることで、学力重視と指摘される高校教育を21世紀型教育へと転換させ、その影響を小中学校へと波及させる試みである。
「今回変わらなければ今後も変わらない。2020年は教育界の関ヶ原の戦いだ」。教育現場からはそんな声も上がる。
『週刊東洋経済』は2月6日発売号(2月11日号)は『「食える子」を育てる』を特集。先進的な教育現場の取り組みを追っている。社会の変化は待ってくれない。すでに日本は人口減少、需要減少のサイクルに突き進んでおり、人工知能(AI)の台頭などテクノロジーの進化が今後、人の労働を奪う懸念もある。まさしく正解のない時代。そこでの「食える力」は必須能力といえる
すでに民間の教育サービスは走り出している。主体的に考えるアクティブラーニングを導入した授業や、プログラミング、科学実験などを重視する「STEM教育」も脚光を浴びる。ただ、教育界の帰趨を待つまでもなく、まず変えるべきは親の意識だ。従来どおり偏差値の高い「いい大学」への進学を期待していては、時代遅れの子育てになることは明らかだ。
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